ウシュアイア

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCEのウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.8
4DX2D版を公開初週に鑑賞。

『PSYCHO-PASS』シリーズは、人間のあらゆる感情、思考、心理的健康状態などが測定・監視され、職業や生き方を割り当てる「シビュラシステム」によって社会秩序が保たれる未来の日本において、犯罪傾向を数値化した「犯罪係数」を測定し処罰する「ドミネーター」と呼ばれる装置を使って犯罪者のみならず犯罪者予備軍となる人たちをも取り締まり、治安を保つ公安の刑事たちの物語。

本作は劇場版の『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に」』(以下SS3)とともに、TVシリーズの2と3の間を埋めるストーリー。

シーズン2で単独主人公を張っていた常守朱が戦線離脱させられ、また姿かたちは変わっていないのに厚生省公安局の局長の名前だけがさりげなく変わっていた件などについての謎が解き明かされる。

本筋のストーリーの時系列は①TVシリーズ1→②TVシリーズ2→③SS3→④本作→⑤TVシリーズ3→⑥PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(シリーズ3の完結編を劇場版にしたもの)で、本作以外は時系列に沿って公開されているにも関わらず、本作の公開が最後になったのかはよくわからない。どなたかコメント欄で教えてくれると幸いです。

時系列でストーリーを振り返ってみると、確かにTVシリーズ1のラスボス槙島聖護が圧倒的過ぎて、槙島を超えるヴィラが出てこなかったということもあって、失速しただの批判は分からなくもないが、これだけのスケールの世界観とこれだけの長編を破綻なく成立していることを考えると、やはりシリーズとしての評価は高いのではないかと思う。

常守が主人公で、狡嚙が戦線復帰し、ドミネーターもきちんと活躍して最高傑作のシーズン1に回帰した感じで良かったと思う。映像も美しく、アクションもちょっとグロいがキレキレ。

やはり、シリーズが始まった頃よりもテクノロジーが進み、ChatGPTが話題になっている昨今、社会システムとAIのあり方、どう共存していくか、という本作のテーマ性についてはより深く考えさせられる。(ネタバレはコメント欄にて。)

TVシリーズ観ていないと本作だけでは何が何だか分からないが、これを機に多くの人に観てほしい。特に法曹関係者や法学部の学生さん。
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