ウシュアイア

正欲のウシュアイアのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
保守的な考え方をもつ検察官の寺井は小学生の息子が不登校になりユーチューバーになろうとしたことにより、家族とぎくしゃくしはじめる。地方都市で周囲や家族に窮屈さを感じる女性・桐生夏月は秘密を共有した同級生・佐々木との再会する。男性恐怖症の女子大生神戸八重子は大学でイケメンだが誰にも心を開かない諸橋大也と出会う。それぞれ別々に進む話が最後にひとつの事件につながる。(と書いてもネタバレにはならないだろう。並列する事件は一つに収斂するのは当たり前。)

身の回りに何を考えているんだかわからない人は少なからずいるし、学生生活を振り返ってみても少なくともクラスに一人や二人いたはずだ。おそらく前提となる価値観や性癖が違うのだ。そういう人達を理解しようとはせず、「おかしな人」や「はみ出し者」として排除してしまうのは簡単だ。一方で、誰しも他人に知られたくない領域というものもあるので、そもそもそこにコミュニケーションは成立せず、相互理解などというものは不可能だ。幸いなことに、SNSの匿名性によりそうした多数の人から理解されない価値観や性癖がつながることができる。

テーマ性はコミュニケーションの断絶という部分で『怪物』に通じるものがある。
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