Foufou

はこぶねのFoufouのレビュー・感想・評価

はこぶね(2022年製作の映画)
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Xでの今泉力哉氏の呼びかけを受け、急遽東中野ポレポレへ。

旧Twitterのスペースではお話しさせていただいたこともありますが、お会いするのは初めて。地下の劇場へ行く途中の踊り場に、大西監督と主演の木村知貴氏とお三人で雑談されている前を通るって、マジでビビりますよね。ああいうとき、どういう顔して通ったらいいか困ります。うわっ、今泉力哉だ! って言うのも失礼だし、何食わぬ顔して素通りするのもそれはそれで失礼な気がするし。で、一礼して通るという、妙な選択をしてしまいました。スタッフと間違われたかも。

上映後のお三人のトークショーで今泉監督がおっしゃられたように、本作は女性の顔のアップがほとんどない。それについて、大西監督はあまり意識されているようではありませんでした。それに敷衍して言うと、母と娘が台所で魚を捌くシーンを斜め後ろから撮るので手元が見えない、主人公のスケッチブックの絵をはっきりとは見せない、夜明け前の岬から見える「色づく」光景を観客に見せないと、随所にあれ? と思わせるシーケンスがあって、意図があるような、ないような、ちょっとわからない。

全盲の主人公が車を運転するシーケンスで、助手席の女がハンドルに手を添える場面があって、対向車が来る時に女も目を瞑るんですが、東京に戻るかこのまま田舎に残るのかの賭けをするのかと思って、ちょっと違和感を覚えたんですね。すると今泉監督にそのシーンの真意を問われて、監督曰く、あれは女の側が男の世界を瞬間的に共有した一つの象徴だと。それをどうしても入れたかったと。

やはり作り手から直接話を聞くのって、勉強になるなぁとしみじみ思いました。

木村知貴氏も素敵な俳優さんでした。あんなふうに気さくに出口で見送られると、これからも応援したくなりますね。

中野・東中野界隈もすっかり再開発が進んで、ずいぶんと見通しのきく街になりました。ぶらぶらと高円寺まで歩いてみました。

夢の中にいるような夜でした。

にしても、なんで「はこぶね」なんだろう。
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