ワンコ

沈黙の自叙伝/自叙伝のワンコのレビュー・感想・評価

沈黙の自叙伝/自叙伝(2022年製作の映画)
4.0
【過去を曖昧にして来た歴史】

映画の公式(たぶん)のあらすじの一節に“暴力と欺瞞に満ちたインドネシアの近現代史を寓話的に描いた”とあった。

独立戦争を経てオランダから独立、熱狂的な民族主義者で共産主義者の支持を得たスカルノから、軍出身でイスラムからの支持を得たスハルトと政権が移り変わる中、国内の不満分子を全て共産主義者とすることで、西側諸国からの暗黙の支持を取り付け、一般人が一般人を虐殺する状況を黙認し、しかしながら、加害者が誰も罪に問われないという状態を、映画の物語に落とし込んだのだと思う。

興味のある人には「アクト・オブ・キリング」で背景として描かれた虐殺の物語を併せて見る(Amazon primeで見れました)ことをお勧めするが、この「沈黙の自叙伝」で描かれる殺人行為の上に社会が成り立っている様は多くのことを示唆しているのだと思う。
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