とらキチ

アラヴィンダとヴィーラのとらキチのレビュー・感想・評価

アラヴィンダとヴィーラ(2018年製作の映画)
4.4
NTR Jr.(タラクさん)主演作品。
村同士の抗争で父親を殺された青年が、文化人類学を学ぶ学生と恋に落ちたことで暴力の連鎖を断ち切ろうとする。
最近立て続けにテルグ語映画(トリウッド)作品を鑑賞しているのだが、作中結構な割合で互いにガチで○し合う抗争シーンに出くわす。コレはこの地方特有の村同士、派閥(ファクション)同士の抗争で、日本に置き換えてイメージするなら戦国時代の豪族、小領主同士の争い、それに近いものなのだという。だから命も賭けるし、万が一抗争で亡くなっても、その家族の面倒を領主が最後までちゃんと見るのだと言う。そしてその領主の地位は世襲で、選挙に出馬して地域の政治家となる者も多いそう。今時の世の中でこのような封建体制は想像もつかないが、この地方ではまだまだこのファクションの影響が強く、今作もそれを反映しテーマとした作品。ただ、今作が他の作品と違うのは、果てしない抗争劇、それに伴う復讐劇を娯楽的に描くのではなく、その派閥抗争の虚しさを重心に描いているところがポイント。
のっけから殺り合うハードなアクションシーン、割れた腹筋を披露しながら超絶アクションをこなすタラクさんがメチャクチャカッコ良い!そして相変わらずキレキレの踊りの方も素晴らしい!でも今作においては“抗争の連鎖”をなんとか断とうと苦悩するタラクさんのお芝居の方が特に見どころ。ただ、“話し合い”と言いながらも、相手をボコボコにブチのめしてしまうのはご愛嬌。タラクさんと対立するファクションのボス役の人が、先日鑑賞した「ランガスタラム」の“プレジデント”役の人だったのはビックリ‼️コレがまた、相当狂った人物設定の役柄。それを見事に演じていて、きっとあの人はソッチ方面では名優として有名なんだろうなぁ…と思わされた。
鑑賞後、改めて作品冒頭で流れる当時交通事故で亡くなったばかりだったタラクさんのお父様お兄様への追悼メッセージが、余計に胸にせまるものがあった。
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