監督は是枝裕和。脚本は『花束みたいな恋をした』などの坂元裕二。音楽を本作が遺作となった坂本龍一が手掛けたミステリー・サスペンス。
大きな湖のある郊外の町。シングルマザ一、学校教師、そして子供たち。ある日、子供同士が喧嘩になる。彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。
母親の視点、担任教師の視点、そして子供達の視点で描かれ、一体何が起こっていたのか徐々に明かされる。それぞれの視点で見ると全くの別の世界が写され、こんなにも違って見えるんだなと驚いた。
怪物とは誰で、いったいなんだろうと考えさせられた。人は気付かぬうちに、誰かの怪物になりうるかもしれない。自分の見たもの、聞いたもの、感じたものだけが全てだと思ってはいけない。色んな視点で物事を見ることを、忘れてはいけないと感じさせてくれた。
上質なサスペンスと濃厚なヒューマンドラマで重たい空気感が漂う一方で、ラストは鮮やかで開放感のある演出が印象的でした。