Jellyfish

霧の淵のJellyfishのレビュー・感想・評価

霧の淵(2023年製作の映画)
5.0
奈良の山村を舞台にした「PERFECT DAYS」。幻想の東京ならぬ、幻想の奈良。自治体主導のプロジェクトであることもそうだが、作品の雰囲気にも共通点を感じる。

「淵とは流れが緩やかなところ、魚はそこを出たり入ったりする」とは劇中のセリフ。時間が緩やかに過ぎるこの村に、昔母サキが入ってきて、今シゲ兄が出ていき、近い将来イヒカも出ていくのだろう。

撮影の 百々武 は、本作の舞台である奈良県の川上村を被写体にした写真集「生々流転」を出版したフォトグラファー。ということで、映像というかカットが実に美しい (ついでにパンフの写真も美しい)。ストーリーは有ってないようなものだが、それでも見入ってしまうのは、この映像の力によるところ絶大。おそらく映画館で観ないとダメな作品。

また、冒頭とキーになるシーンで流れる歌謡曲っぽい劇伴がすごく良い。クレジットによると 梅村和史 の「帰郷 Nowhere」 という曲らしいのだが、ネットで検索しても見つけられず。

終盤、強く郷愁方向に振れるのはどうだろう。見せ場を作りたかったのだろうか。視覚的には楽しいのだが、無くても良かったような気もする。
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