2歳からISに2年間拉致されていた幼いイマドの人生は普通ではない。
母親には唾を吐き、先生には噛みつき、家畜を虐め、学校に行っても片っ端からクラスメイトを引っ叩く。
けどそれがイマドにとっての「普通」
暴力の何が悪いのか本当にわからない。
そもそも「暴力は悪いこと」という一般的とされる価値観もまた、ただの植え付けなのかも?とか考えさせられてしまう。
暴力や戦争を日常的に見てきたイマドの表情が、ゾッとするような鬼の顔に見える。
次第に先生や母、祖母と接するうちに料理や植物への水遣りなどをするときにはあどけない表情、優しい慈しみの表情、きょとんと不思議がる子供の表情もみえはじめる。
きっとイマドは時間をかけて、一見して「普通」に戻れるかもしれないが、トラウマとなって時折暴力的な過去がフラッシュバックするかもしれない。ふとしたときに本人の中で倫理観が揺れるかもしれない。そしてなにより、イマドのような子はまだまだたくさんいる。
戦争、暴力が生んだ悲劇を見つめて考えさせられるドキュメンタリー。