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ミツバチと私のDのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
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2024年初劇場鑑賞作品㊗️

ベルリン映画祭は2020年から男優賞・女優賞といった性別の賞を廃止している中、史上最年少となる8歳で最優秀主演俳優賞(銀熊賞)を受賞したのが主演のソフィア・オテロ。

その演技が絶賛されており、またそのルックスも相まって、まさに本作のテーマにもふさわしい受賞だったことが伺える。

本作の舞台となるのは、フランスとスペインにまたがるバスク地方。

その国境を越える場面から物語がはじまり、子供と母の目線から描かれる。

原題は「20.000 especies de abejas」となっており、2万種類のハチの意味。

実は計算された複雑な設定、繊細な心理描写、一定の距離感など、多様なニュアンスを織り交ぜた、性自認の間で揺れる不安定さを孕んだ社会問題を扱った作品。

監督はスペインの新鋭エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンによる初の長編初で脚本も手掛けている。

なぜ主人公は複数の名前を使うのかであったり、蜂がどういう意味で用いられているかだったりが説明的でなく物語が進む。

地方の文化などほ引用元は、鑑賞時はわかりにくく感じるものの、振り返るとそれぞれに込めた意味合いが、相互作用している。

緻密な映画であったことが後にわかることにより、初見時には不鮮明であったこともそれぞれの想いが込められており、再度みたくなる優しい映画。
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