母親を失い非行に走って暮らす少女の元に、顔も覚えていない父親が帰ってくる。まずハリス・ディキンソンがヤンパパ役なのに驚くんだけど笑、良い意味でストレートな父子の成長物語で良かった。
複雑なバックグラウンドを抱え、物理的にも精神的にも距離感のある父子間の物語といえば「アフターサン」を思い出さずにはいられなかった。あちらはそれなりの関係性の中で徐々に複雑な感情を浮かび上げる話だけど、こちらはほぼゼロペースからお互いの感情の接近を認識させていくような作風なので、率直に共感しやすく観心地も良い。勿論、二人の背景を逡巡すると難しい感情になるシーンもあるんだけど、全体としてそれをネガティブな方向に持っていかないのが良い。主人公の妄想世界を描いたような角丸画角のカットが可愛かったな、監督は蜘蛛好きなんかな?笑
1時間半足らずでこの物語を描くには物足りないと思う人もいるかもしれないが、長過ぎず捉えやすい分、色んな人にオススメしやすい作品。