ヨーク

オクス駅お化けのヨークのレビュー・感想・評価

オクス駅お化け(2022年製作の映画)
3.3
先に結論を書くとイマイチな『オクス駅お化け』であった。いや、イマイチっていうかね、まぁイマイチなんだけど全然ダメな作品というよりもだね、ものすごくオーソドックスな怪談物で良いも悪いもなく、したがって特にこれだけは言っておきたいというような褒めの部分も文句の部分もそんなにないという感じの映画だったんですよね。これといった特徴のない映画って言うとどっちかといえばディスってる方に取られることが多そうなのだが、観どころが全くない映画というわけでもないので過大な期待さえせずに臨めばそこそこは楽しめるのではないだろうか。ちなみにそう言う割にはスコアが(俺としては)やや低めなのは俺自身が結構期待しちゃってたからです。
いやだってさ、これ脚本に高橋洋が参加してて白石晃士も制作協力かなんかで参加していることもあって日韓合作的なホラーっていう宣伝されてたんですよ。韓国映画といえば『箪笥』や『コンジアム』といった怖い映画がたくさんあるし、そしてここ数カ月の俺のホラーものの感想文を読んでいただければ分かるかと思うが今年の和ホラーは結構面白い作品が多かった! 韓国ホラー怖い! 最近の国産ホラーも怖い! 怖いと怖いを足せばもっと怖くなるはず! みたいなキン肉マン理論で本作もきっと怖くて面白いホラー映画だと思ったんだけど、まぁ結果としてはそんな簡単に名作が生まれるんだったら苦労はないわなということでしたね。
いやでもネタとかはいい感じだと思ったんだよな。タイトルが『オクス駅お化け』とあるように本作の舞台は駅なんですよ。駅といえば世のほとんどの人間が日常的に利用する施設じゃないですか。そんな非常に馴染み深い交通機関という日常に恐怖が潜んでいるとしたらそれはゾッとしますよね。未見だが最近同じ駅モチーフの『きさらぎ駅』というホラー映画もあった。そういう舞台だともしかしたら明日自分の元にも怪異がやってくるかもしれないとか思っちゃう。しかも本作の駅っていうのは地下鉄の駅なのでさらに怖さが倍率ドンで、地下鉄って地上駅と違ってどこも似たような風景だからその無機質さが人心地せずにさらにホラー映画の舞台向きだと思うんですよ。ここまで書いて思い出してしまったがプレステ時代にアトラスが出した『ダークメサイア』というホラーゲームも地下鉄から始まるお話であった。これがいい設定で、地下鉄で事故が起こって車外に避難したらそこで化け物に襲われ、這う這うの体で逃げて行くうちに太平洋戦争末期に旧日本軍が作った地下施設に迷い込んで現在そこにはカルト教団の信者たちが巣食っていた…という最高にワクワクする設定なんですよね。本作の感想には1ミリも関係ないけどね! でもまぁ地下鉄ホラーといえば俺としてはそういうものを期待していたんだが全然そういう面白さは無くて、どこかで見たような設定にどこかで見たような展開に途中からもういいよってなるようなジャンプスケア満載のよくある映画でしかなかったのだ。
あらすじはなんかバズり目的のゴシップ的なネット記事を書いてる女性記者がオクス駅の怪談の噂を取材したら実際に人が死に始めてこの駅には本物の呪いが…? ってなってくお話です。
まぁその導入も既視感が凄いが設定とかその部分があるあるになるのは別にいいよ。でも本作は物語が動き出してからの、その後の展開とか演出もどっかで見たものばっかなんだよな。ただ最初に書いたようによくある展開だとしてもホラー的な要点というか、勘所のようなものは全てそつなく抑えてあるのでクソ映画というような酷い出来ではない。ただそれ以上の面白みがないというだけなのだ。オチのやっつけ感は酷くて流石にもう一捻りしろよとは思ったが、まぁそういう感じの映画でしたね。期待さえしなければそこそこなんではないでしょうか。ただ繰り返すとオチは酷かったが。あれはもう一展開無ければダメだろう。
あ、でも一点だけ確実に素晴らしいところがあってそれは80分という尺でサクっと終わるところですね。長尺映画が増えた昨今、これは映画のハシゴをしやすくなるので非常にありがたい。常日頃から俺は「もっと短くまとめろや」的なことを感想でも書いてるし。ただ本作の場合は100分くらいになってもいいからあるある的なものばかりじゃなくてもう少し濃いものを観たかったなという気持ちもありましたが…。
あと、主演の女性記者が橋本環奈っぽい顔立ちだったんだけど何なんだろう、あの手の顔はホラー映えでもするんだろうか。橋本環奈もホラー出演率高いよね。まぁそれはどうでもいいですが。
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