垂直落下式サミング

ヒッチハイクの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ヒッチハイク(2023年製作の映画)
2.5
山奥でヒッチハイクしたら、ヤバ一家に拾われた系のネット都市伝説が元ネタ。画面の色合いだとか、針葉樹林の山道の雰囲気や、絡んでくるキャンピングカーの面々の浮世離れ感は見もの。
ただ、キャラクターの動かしかたはよくない。「役者をカメラの前に並ばせて交互にセリフを言わせる」っていう段取りが透けて見える。あまりこういう言葉は使いたくないけれど、カメラの使い方が下手くそだ。
そのくせ、編集は段取りが悪かった。主人公に娘を殺されたことに逆上した母親が叫びながら猟銃を撃つんだけど、銃弾は主人公と取っ組み合っていたもう一人の娘にあたって殺してしまい、力なく泣き崩れて銃を落としてしまう。
ここで、主人公は彼女の銃を奪って攻めに転じるのだけれど、女が「殺してしまった娘にかけ寄る」ところを飛ばして、すでに遺体にすがり付いているという意味の繋がらないジャンプカットしてしまったり、取り乱した女が銃を捨てたところを「すかさず拾いに行く」みたいな必死そうな姿を見せないまま飛ばしちゃうから、あまりにも簡単に逆転してしまったかのように見えてしまう。あそこから、どうやって音もたてずに屋根の上に上ったのかも謎だしさ。
ショボいCCとか使うくらいなら、生身の人間の即物性でみせていくっていうクレバーな方向性は好感を持って見れたんだけど、邦画っぽい値段相応の低品質な残念さはしっかり搭載。セリフは段取り臭くて、アクションは場当たり。これはちょっとなー。