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ハマのドンのごーのレビュー・感想・評価

ハマのドン(2023年製作の映画)
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港の親分、保守の重鎮、藤木幸夫、ハマのドン。自民党員ながら当時の菅総理大臣肝入りの横浜IR構想(カジノ)に真っ向から反対し、2021年の横浜市長選挙でリベラル各党が推薦する山中を後押しし、推進派の前職林、菅の刺客であり藤木が名付け親である小此木八郎らと対峙していく。
港湾、政治・選挙、ドキュメンタリーは好物なので、監督、プロデューサー舞台挨拶付きの回を鑑賞。

地元横浜ということもあってかほぼ満席だった。いまジャック&ベティではネット予約ができないので早めに行って最前列を確保しておいて良かった。

昨今の、選挙に勝てば正義とばかりに民衆の意見に耳を傾けない数の力による政治に抗い、横浜にギャンブル依存症の子供を作ってはいけない、主権在民と叫ぶ。
横浜よく行くけど舞台となる山下埠頭はあのガンダムが立ってる所でその先に広がっている。

港湾労働者の元締めなんてヤクザじゃないの?と思ったら父親が山口組3代目組長と繋がりがあった。田岡が荷役について教えを請うていたらしい。ただし父の代のうちにヤクザとの関係は断ち切ってたとのこと。
他にも戦時中に空襲された時のことや、中学生の頃地元妙蓮寺の不良少年を集めて立ち上げた少年野球チームのことなどにも触れられている。
また、アメリカ在住のカジノ設計者の村尾さんによる、日本にカジノはいらないという話も興味深かった。立場上言いにくいはずなのに日本のために進言されたそう。

前回の選挙でカジノは白紙、としていた林がそれを撤回し市民の怒りを買い、大きなうねりとなり反対の署名は19万筆集まる。
鑑賞中に概算してみたんだけど横浜の人口350万×有権者の割合70%×投票率40%で大体総票数100万程度かなと、それに比べると19万というのは相当な数であるため選挙に大きく影響しそうだと思った。
後で調べてみたら実際は少し数字が違っており、人口380万×有権者の割合80%×投票率50%で約150万が総票数だった。思っていたより高齢化が進んでおり、投票率も高かったということになる。これはコロナやカジノなどで関心が高まっていたということだろう。ちなみに前回の投票率は40%を切っていた模様。事前の新聞各社の予想では僅差だったようだが、結果は投票率の高さもあり山中氏の圧勝に終わる。

舞台挨拶では、返り血を受けるはずなのに行動を起こしたことや保守から保守への反逆に驚き取材を始めたとのことだった。また、カジノ設計者の村尾さんからは、英語版を作らないでくれと頼まれたそう。
先の統一地方選で同じくカジノが争点となった大阪では、世論調査でカジノ誘致は反対が上回るものの、選挙ではカジノ推進派が当選するというねじれが起きた。投票率が高ければ結果は異なっていたかもしれない(とは言え投票率は50%近く、こちらも日本の地方選挙では高い水準)。これは大阪での維新の会の支持率の高さを表しているのだろうか。
監督にサインをいただくとき、大阪での反響が知りたいので何かしらの形で発信してほしい旨伝えると、Twitterを見てくれとのこと。ただし公式のTwitterでは告知がメインのため期待しないでおこう。反響や感想は自分で探した方が良さそう。

パンフレットによると藤木氏と菅前総理、小此木家は映画で触れられていたよりも密接な関係であったようだ。それを知るとあの選挙での対立の意義がさらに大きなものだったのだと分かる。

後日、WEBイベントに参加したときの監督のQA
・大阪との違いは?
取材してないので確証はないが、維新が強く、対コロナの政策もあったのかと思う。また、選挙運動の開始時期や量も理由となっているかもしれない。維新が革新だと思われているかもしれない。
・日本の民主主義に欠けているものは?
色んな人と連携していかないといけないのにすぐ分断、対立する。議論、意見、ものを言うことが大事なのに上から押さえつける。
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