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ジェイミー・デメトリオのまるっとライフのhasisiのレビュー・感想・評価

3.5
胎内から墓場まで。
節目の出来事を中心に、一般男性の一生を52分間で体験するコメディ・スケッチ。

監督は、アンドリュー・ゲイノード。
脚本は、ジェイミー・デメトリウ。
2023年にNetflixで公開されたコメディ・スペシャルです。

【感想】👶🏻🍼
脚本と主演は、ジェイミー・デメトリウ。
1987年生まれ。イギリス出身の男性でコメディアンです。
シットコム『スタス・レッツ・フラッツ』が代表作らしい。

ジェイミーを主人公に、仲のいい演者たちが多数出演しています。

📱子供部屋のベッド。
デュエットにラップで掴みはOK。
上の世代が、下の世代を分析した時のあるあるネタ。
世代論に激おこ。💢
わたしも、育った年代の流行と個人の趣向を=で語る人に疑問を持っていたので、共感値が高い。
ただ、完成度のわりに、本音と建て前のバランス悪くて今一つ乗り切れない。
綺麗ごとに感じられた。

🍺独身男性の集い。
みんなが自分と同じように、表面上いい人で実は性悪だと思っている。思いたい。
そして自分を曝け出せと訴える。
だけど、世界はそうはなっていないので価値観が合わずに孤独を感じる。
もッと言いたいこと言えよ。
「大丈夫かこいつ?」「ついていけないよ」な集まり。
“いい人な自分”と“本音の自分”に分離しての掛け合い。
自虐ネタと言いたい放題のミックス。

👮🏻友人宅でバーベキュー。
笑顔で嫌味を言う友人への殺意を映像化してある。
和やかな空気と、静かに切れるジェイミーの抑えた芝居が不気味。
脇役全員が二面性を使いこなす逆転現象が起きている。

個人的なつぼは、
脇役の脚本の理解度と、表現力ががっちした時。主に顔芸。
ジェイミーの芸は完成しているので予定調和。
演者との掛け合いによって笑いが生まれる。

💋キス・〇ィラ。
集められた面子で寒気がして残酷。ジェイミーが一番ダサいから許されるやつ。
ツイストさせてクイズ形式にしてある。
分かりやすくて想像力を刺激する。

🍽️夫婦の夕食。
旦那さんのテンションが高くて面倒くさい。
奥さんの怯える表情がいい。
落ちが好き。

📺孤独な老後。
デジタル難民のテレビショッピング。
冒頭は『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』のようで引き込まれる。冒頭は。
老人ネタではあるけど、ジェイミーの心の叫びでもある。

🙃不慣れな老人は、PCでYouTubeのボリュームを調整することができない。間違えて音を小さくしたらそれっきり。故障したと呼び出される。

……けど、意外と教えるのは難しい。冷静に考えて、YouTubeのボタンってお洒落仕様だから画面からすぐ消えるし、ドラッグさせる必要があるので、老人殺しだよな、とは思う。

ちなみにAndroidは、〇や□などのアイコン操作で直観的なので、さらに覚えるのが難しくなる。話を聞いてゆくと、なぜホームが〇なのか理由がないので記憶できないようだ。
(TVレコーダーのリモコンだと教える必要すらなかったのに、仮想ボタンのハードルの高さよ)

🛌🏻ねたきり。
輪廻転生。人生の終わりは始まりに似ている。ジェイミーの優しい歌声が心地いい。
幸福感が得られて、死ぬのが怖くなる。

フィナーレは、ミュージカル映画を茶化していて、なんとも言えない後味。
気分が悪いのか、すっきりしたのかよく分からない。

【映画を振り返って】📻👩🏼‍💼🤰🏻👨🏻‍⚕️
歌う陰キャコメディ。『ボブズ・バーガーズ』に通じるものがあって楽しめた。
オタク仲間の匂いがして安心感ある。

大人しくて、普段は言いたいことを言えない人が、思いのたけをぶつける芸。
周りの顔色を窺っている人の本音が聞ける。

表面(いい人)と裏面(性悪)のギャップで笑いが生まれる仕組み。周囲と自分を比較して、上手く特徴を捉えている。セルフプロデュース力がすごい。
ただ、1人の価値観で作られているので単調ではある。まるで子供部屋に招待されたかのように怖いほど閉じられていた。

性悪といっても、子供っぽくて笑って許せる範囲。正しさを求める側面で中和されているので、胸糞にはなっていない。その辺は、売れている人なので絶妙なバランス感覚がある。

🤬切れる。
ジト目。普段は優しくて穏やかなのだが、一旦火がつくと大変。
内側にはどろどろとしたマグマのような闇が広がっている。
攻撃的で、周囲への怒りが爆発する。

不条理を口で訴えてくるので、いい意味で大人に成れていないとも言える。
切れる自分が嫌いで、できるだけ静かにしたいとも思っている。葛藤があって生々しい。

様々な笑いのバリエーションを用意してくれるのが涙ぐましい。
社会に言いたいことをぶつけながらも、視聴者へのサービスも忘れない。劇中の円環構造と同じく感情が巡っている。

👴🏻人生の振り返り。
世代ごとの思いが語られるが、駆け足なのもあって、ステレオタイプ。表面的で深みには欠ける。
今感じている不満をぶつけるほうが共感は得られるが、未来や過去に思いを巡らせて想像する方が優先されている。

節目が好きな人のコント集なので、歴史あるイギリスの国柄ともマッチして、世界にもアピールしやすいのだろう。

最近は、時事ネタばかり聞いていたので、味変してよかった。
協調性が高いのに自分のペースをしっかり持てる人はうらやましいです。
日本で見られるジェイミーの作品は俳優業が中心のようですが、脚本を書いているものだったら、つぎも見てみたいです。
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