オレオレ

地球は優しいウソでまわってるのオレオレのレビュー・感想・評価

4.0
「隣のサインフェルド」、「Curve Your Enthusiasm」好きな私には、ツボだった。あるある小ネタ集というか、ラリー・デイヴィッドの「shows about nothing 」というやつ。
「自分への評価をうっかり聞いてしまった」というシチュエーションだけなんだが、あるよねそういうの、って思ってしまう。

回顧録がそこそこ売れた作家で教師のベス(J.L. ドレイファス)と精神科医のドン(トバイアス・メンジーズ)夫婦。
ベスは小説を完成させようとしているが、とにかくこれが書けない。ドンに見せると、「これはいいよイケるよ」というポジティブなフィードバックはあるものの、完全に煮詰まっている。
ドンはドンで、供給過多(と思われる)のシュリンク市場で、パッとしない精神科医。患者からの信頼もイマイチ薄い…

ベスはある日、ドンが友人でもある義弟マークに「ベスの小説は読むに堪えない酷い出来だが本人には言えない」と語っているのを聞いてしまい…

ドンに対峙するかの葛藤とその後、が映画の筋なんだが、マークの売れない俳優稼業の悩み、ベスの妹でマークの妻であるサラのインテリアデザイナーとしての真空、ドンの患者のひとことなど、みんなが小さいストレスを抱えていて、その小ネタ具合(誰もセルフィーしたがらない、顧客の趣味がめちゃくちゃ、”idiot!”)が可笑しくもほろ苦い。

ストーリーには関係ないが、ベスとサラの母親が、死ぬほどタッパーウェアを持っているのに、ランチで余ったポテトサラダを持って帰るという娘に対して「アルミホイル使って」と頑ななのが私の中で最大限に「あるある!爆」だった。

結局、特に解決はないんだけれど、それも含めて「あるある」かと。
離婚するまでには至らないが、そこそこショックな「あるある」。いったんは落ち着いても言われた方は根に持ってて、何年後かの喧嘩にふと口走っちゃいそうな「あるある」。
カフェに座った隣のカップル、ラブラブな二人よりも口喧嘩している二人の方に聞き耳を立ててしまうアナタにおすすめです。