役所広司、柄本時生、中野有紗、上映後舞台挨拶の回を鑑賞。
初の生役所広司！
トイレの清掃員の話だが、出てくるトイレが奇抜なデザインで清潔なものばかり。これでは現実を撮れていないではないか。
実は本作企画・プロデュースの柳井康二氏が発案し、渋谷区のトイレを著名な建築家、クリエイターがリニューアルした The Tokyo Toilet というプロジェクトで建てられたトイレであり、それには専門の清掃員がいるということだった。そしてその清掃員を主人公にした映画を作ろう、というところから本作が企画され、ヴェンダースに監督をオファーしたらしい。
変わらない主人公の生活、寝食や歯磨きを丁寧に映すところは渡辺紘文監督の「七日」に通ずるものがある。が、こちらはそれだけには止まらない。商業映画なので当然か。
神社、銭湯、プロ野球、相撲、浅草、スカイツリーなど、日本的なものばかり映される。その辺りからは海外の人に向けた作品であるように感じられた。
カセットテープやフィルムカメラ、中古本などのアナログで、繰り返されるいつもの、海外の批評では「禅」と表現された主人公の生活。役所広司のその演技はカンヌで最優秀男優賞を受賞した。
他にもホームレスの田中泯、居酒屋のママの石川さゆり、その前夫の三浦友和など、存在感のある俳優陣。
舞台挨拶に登壇した柄本時生は、父親の柄本明から「役所はうまいぞー」と言われたエピソードを明かした。本人は覚えていないものの幼い時に役所広司に会っていたらしい。
本作がデビュー作となった中野有紗も、きっとこれをきっかけに活躍していくのだろう。
