はぐれ

ブルーを笑えるその日までのはぐれのレビュー・感想・評価

ブルーを笑えるその日まで(2022年製作の映画)
4.2
教室でいつもひとりぼっちだった女の子がふたりぼっちになって煌めくような眩しい夏休みを経験する物語。年の瀬に入って荒んでしまった心を全て浄化してくれる様な真っ直ぐな作品に出逢えて感動😢

これが長編初監督作となる武田かりん監督。聞けば自身の実体験がベースになっているとのこと。それ故か鑑賞中は少女マンガ家のデビュー作を読んでいるような新進気鋭のバンドのデビュー盤を聴いているような高揚感。そこには作者の全てが詰まっていてその赤裸々な想いには一点の偽りもない。だからこそこんなにも読後感が清々しいのかな🥺

クラスでハブられてしまった主人公のアン。彼女を演じる渡邉心結の演技がとってもリアルでついつい応援したくなっちゃう。その心の声は耳をすませていないと聴き取れないくらいに小さい声なんだけど、その少ないセリフのひとつひとつが琴線に触れるのよね。そしてそんな彼女を優しく包み込むアイナの眩しい笑顔もとっても魅力的。そんな2人のバディ感がこの映画の最大のチャームポイント。

「友達なのかもうわかんないです」。信頼をしていた友人から裏切られたら周りの人が全て敵に見えてしまって積極的に行動なんて出来なくなっちゃうよね。今現在も世界中のどこかで同じ思いをしている子が沢山いるかもしれない。そんなやるせない気持ちを抱えた子達にこの映画は優しく寄り添ってくれるはず。今は吉祥寺での単館上映なんだけどもっともっと広がって全国各地で上映をして欲しいな🥺大人になった彼女の想いをタイムマシンとなって全国へ届けて欲しい。

映画って時折、技巧的なテクニックを作者の強い想いが凌駕しちゃうことがあるけど今作はまさにその好例。そうなっちゃったらもう向かうところ敵なしなのよね。

※今作はお蔵入りになりそうなところを自身でも監督をやられている田口敬太監督がプロデュースを買って出てくれてなんとか完成にこぎつけたとのこと。それを上映後の舞台挨拶でしきりに感謝されていた武田監督。性別は違えどお2人がアンとアイナに見えた🥺
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