ヨーク

ドント・スティール 強盗の果てのヨークのレビュー・感想・評価

3.4
新宿のシネマカリテでやっている夏の映画祭、カリコレの四本目です。
先日同じカリコレで感想文を書いた『オールド・マン』には主役としてスティーヴン・ラングが出演していたがスティーヴン・ラングといえば『ドント・ブリーズ』であろう。いやまぁ他にも『アバター』とか超大作にも色々出てるけど、スティーヴン・ラングがメイン! って感じなら昨今では『ドント・ブリーズ』であろう。いきなり『ドント・ブリーズ』の話を始めてどうしたと思われるかもしれないが、本作『ドント・スティール 強盗の果て』は『ドント・ブリーズ』のマイナーチェンジ版って感じの映画なんですよ。ほら…『ドント・スティール』と『ドント・ブリーズ』でタイトルも似てるし…。
いやそこは狙ったのかどうかは知らないけど、まぁあれですよね、よくあるみんな大好きな「舐めてたあいつが実は…」パターンの映画ですよね。そう書くとほとんどネタバレしてるようなものかもしれないが公式サイトのあらすじにも「老人には恐ろしい裏の顔があった!」とか書かれてるからまぁいいだろう。
お話は幼馴染みの三人がある宝石職人の家に強盗に入るんだけどその宝石職人のジジイがやばい奴で強盗に入った3人の方がとんでもない状況に追い込まれる…というまんま『ドント・ブリーズ』な感じです。一応お話の展開としてはその三人は幼馴染みでガキの頃から悪さばかりしていてそのまま大きくなってチンピラになって行ったというのがあるんだけど、その過去の因果応報とか三人の人間関係を主な題材としてお話が展開していく感じでしたね。
その辺は割と素直に面白かったな。いわゆるシチュエーション・スリラーって感じの映画で、強盗に入ったジジイの家で立場が逆転して強盗側が逆にやられていくわけだが直接的に肉体にダメージを入れるような感じじゃなくて心理戦的な感じでネチネチと三人の人間関係にヒビを入れていくとう感じが陰湿でよかったですね。まぁぶっちゃけ尺稼ぎなんだけど強盗三人のアホっぽい感じが笑えてよかった。
そうだな、役者さんがいい映画でしたね、これは。その先はまぁぶっちゃけそんなに驚くような展開にはならずに順当にお話が転がっていくんだけど、強盗三人の役者以外にも宝石職人のジジイの奥さんであるババァが凄くいいキャラで面白かったですねぇ。いやぁ、あのナチュラルに狂いながらも凄く優しい人なんだという感じは実にイカレてる感じがしてよかったな。あの役者さんはサイコスリラーもののジャンルで大活躍できるんじゃないだろうか。俺が知らないだけでとっくに活躍してるのかもしれないが。
あとは家族の絆の映画でしたね。幼馴染みであるはずに強盗三人の友情がしょうもないことでガラガラと崩れ去っていくのと対比的に家族の結束力の高さですよ。やはりイタリアは家族を大事にする国。古今東西のマフィア映画でもお馴染みですよね。いやー、家族の絆すごいなー、と感動すること請け合いであろう。
警官のシーンとか前半は意外と緊迫感があるし後半は笑えるしで中々楽しい映画でしたね。期待さえしてなければ割と楽しめると思いますよ。
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