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プリシラのmaroのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.5
2024年日本公開映画で面白かった順位:38/44
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

タイトルからじゃまったくわからなかったけど、これはプリシラ・プレスリーの自伝を映画化したもの。
そう、名前から察しがつく通り、あのエルヴィス・プレスリーの元妻である。
2人の出会いから離婚までをダイジェストで振り返るような内容で、エルヴィスの知られざる素顔が垣間見える作品だった。

そもそも出会いというか、エルヴィス・プレスリー(ジェイコブ・エロルディ)がプリシラ(ケイリー・スピーニー)に恋をしたってのがすごい。
なぜなら、2人の年齢差は10歳なんだけど、初対面時のプリシラは当時まだ14歳だったからだ。
日本の感覚で言えば、若手社会人が中学2年生の女の子にゾッコンになるようなもの。
エルヴィスと言えばそのときから絶大な人気を誇っていて、言い方は悪いけれど女性なんていくらでもどうとでもできたはず。
そんな彼が気づけば14歳の少女に恋をしていたのだ。
おそらく、兵役で西ドイツにいてホームシックだったときに故郷が同じ女性に出会ったこと(これはセリフにもあった)、また、プリシラが年齢の割に大人びていて他の女性とは一味違った魅力を感じたからかもしれない。

そこからお付き合いが始まるわけだれど、エルヴィスはプリシラをメンフィスにある自宅に呼び寄せる代わりに、ちゃんとカトリック系の学校に通わせ、少なくとも未成年のうちは体の関係も持たなかったっぽい。
それでいて女癖が悪いという描写もなかった(これは単にプリシラが知らなかっただけの可能性もあるけど)。
多忙を極めて家にほとんどいなかったり、短気ゆえにたまにガチギレすることを除けば、そこまでひどい人ではないように見えた。
いや、スーパースターってもっとわがままで自己中で破壊的な人格のイメージがあるから、それと比べたらっていうことだけど(笑)
とはいえ、プリシラが妊娠した後に「自分を見つめ直したいから別居しよう」って言ったときは、「子供どうすんの?!」とは思ったけどね。

ただ、プリシラからしたら相当にストレスフルな生活ではあったと思う。
付き合い始めた頃はまだ高校生でしょ。
普通だったら同い年ぐらいの男の子と好きなときに好きなだけキャッキャウフフができる年齢だ。
それなのに、いくら彼氏が世界的なスーパースターとはいえ、ほっとんど会えない上に、マスコミに共演者の女優とのあることないことを書かれて嫉妬に駆られる日々。
昼夜逆転する生活に加えて、子供が生まれた後も基本的な育児は自分ひとり。
そんな生活に耐えかねて、結局は離婚することになるんだけど、「まあそうなるよね」とは思う。
よっぽど夫の仕事に理解があって、自分も精神的に自立していないと、この生活を耐え抜くことはできなそう。。。
最後にプリシラが出て行くときにバックで流れる『I Will Always Love You』のアレンジバージョンがいい味出してた。
ちなみに、劇中では描かれていないけど、離婚後も2人の仲はよかったらしい。

そんなわけで、あの世界的スーパースターであるエルヴィス・プレスリーの元妻に焦点を当てた興味深い話だった。
エルヴィス自身の名曲やパフォーマンスシーンはほとんど描かれていないけれど、元妻から見たエルヴィスがどうだったかが知れるのは有意義だと思う。
なお、伝記映画ではあるけど、プリシラご本人は今でもご健在です。
むしろ、子供のリサ・マリー・プレスリーが昨年、小腸閉塞が原因で54歳の若さで亡くなっています。。。
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