意外な焦点の当て方により、ナイーブな人間性が露呈するといった、ナポレオンに持つイメージとそぐわないため、独特・新鮮・新解釈として、評価が別れる最大のポイントになっているリドリー・スコット版の「ナポレオン」。
歪んだ人物像をホアキンが見事に体現して、女性目線を加えたヴァネッサ・カービーが存在感を示した悪女もハマっているし、夫婦の愛憎入り混じった人間ドラマを掘り下げた、それぞれが持ち味を発揮している。
加えて、史実はゆるやかかつ淡白な説明に終始していて、わかっていることが大前提で進むアート寄りで説明的ではない。
そして、絵と音によるダイナミックな戦闘シーンの迫力はすごいが、トータルエンタメ方向へ寄り添うことなく、円熟味に達した巧みな表現を嗜む大人の映画だ。
ヨーロッパの曇った空色が抜群にいい。
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