ゴン吉

52ヘルツのクジラたちのゴン吉のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.1
母親から虐待された過去を持つ女性と、同じく母親から虐待されている少年の心の叫びを描いたヒューマンドラマ。 
原作は2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの小説。 
成島出が監督を務め、杉咲花が主演、桑名桃李が子役を演じ、志尊淳、小野花梨、宮沢氷魚らが共演。  

貴瑚(杉咲花)が東京から海辺の高台に建つ一軒家へ越してくる。その家のテラスからは海を一望に見渡すことができた。貴瑚には大切に思ってくれる人がいたが、その人は貴瑚をおいて一人で旅立ってしまった。そんな思いにふけりながら、録音したクジラの声を防波堤で聞いていると、雨が降りはじめ、腹部の古傷が痛み出して動けなくなってしまう。そんな貴瑚のもとに、長い髪をした声の出ない少年(桑名桃李)がやってきて傘をさしてくれる。その少年の体はアザだらけ。貴瑚は母親に虐待された過去を持っていたことから、少年も母親からムシと呼ばれ虐待されていることを知り、少年と一緒に暮らし始める.... 

寂しくなった時は52ヘルツのクジラの声を聞く。この52ヘルツのクジラの声はほかのクジラたちには聞こえない。
母親から虐待された過去を持つ女性と、同じく母親から虐待されている少年が海辺の町で出会う。
二人の交流を通して貴瑚の過去が徐々に明らかになる。
切なく繊細な愛情が交差し、重厚なヒューマンドラマが展開する。
多くの人は他人には聞こえない心の叫びを抱えながら生きている。
果たして52ヘルツのクジラの声は誰かに届くのか?
珠玉の物語に魂が涙せずにはいられない。
「私が守るから」
「聞きたいんだよ 聞かせてよ あんたの声を」
「き・な・こ・・・」  

2024.5 鑑賞
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