第14回小説現代長編新人賞受賞、パリュスあや子『隣人X』の映画化。主演は上野樹里、林遣都。予告では、SFかロマンスかという作りになっていますが、本質的には、まったく異なるテーマを描いた物語。宇宙から来た惑星難民Ｘは、人類に危害を加えない存在で、かつ、人の姿をトレースするという設定。現在、世界中で起きている権力者や支配階層が、宗教や人種を理由に差別や弾圧をおこなっている問題を、「宇宙難民X」という形で描いている社会派作品。予告とは、あまりにも異なるテーマなので、予告で期待して観た方にとっては、「違う」となっていそう。作品自体は、恋愛物語に少しSFを加味した雰囲気で進んでいきますが、私たちの差別意識やフェイクニュースを信じる話となった時点で、自分自身に跳ね返ってくるので、鑑賞後は、考えさせられる、そんな作品。予告だけでなく、少し公式サイトの内容などを読み込んでから観ることをお勧めします。
2023年12月10日＠MOVIX京都
