オレオレ

Saltburnのオレオレのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.5
いるだけで不安定な気分にさせるバリー・コーガン主演の最新作。
タキシード姿の彼プラス薔薇だか芍薬だかの花が入ったスチール写真だけの前知識で見る。
憧れの金持ちクラスメイト、彼の実家の豪邸、ひと夏の滞在、ときたらあれ系かこれ系だろうと思ったらまあその通りだったんだが、それを「プロミシング・ヤングウーマン」のエメラルド・フェネルがどう描くか。

オリバー・クイック(B.コーガン)のオックスフォード入学から始まる。
銀縁眼鏡にネクタイ、親の見送りもなく徒歩で入寮してくるオリバー。もちろん知り合いはいないのでいちから友達を作らねばならないが、「その手の世界」に慣れた風の他の新入生のようにうまくいかず、人の話を聞かない数学オタクと仕方なくつるんでいる。
そんな彼が憧れるのは、異性はもちろん同性からも人気があり、常に何事もスムーズにこなすフェリックス。このフェリックス役がジェイコブ・エロルディ(ソフィア・コッポラ新作でエルビス役!)なんだが、若いころのヘンリー・カヴィルを彷彿とさせる絵に描いた餅、ならぬ絵にかいたボンボン。甘いマスクに高身長、驕りのラウンドを買うお金がないというオリバーに出す助け舟も慣れた風で実にスムーズ。取り巻き女子がオリバーのことを「なんかキモいんだもん、彼」というのにも、「意地悪言うなよ!」と軽くいなし、悪口も言わない。
そんな折、オリバーの父が亡くなったという知らせが入り、兄弟もいなければ残された母親もヤク中だというオリバーを不憫に思ったフェリックスは、「夏休みは俺の実家に来いよ!」と誘う。

まーこの実家がゴージャス。
爵位をもった父親(R.E.グラント)、モデル上がりの母親(R.パイク)、美人の妹、執事にメイドに庭師までいる館で、「悪いけどオレとお前でバスルーム共用な!」といわれるバスルームはアパートの一室ぐらいある。夕食はいまだにディナージャケットやドレスに着替えるダウントンアビーか!みたいな暮らしは面倒くさそうだが、ビシっと手入れされた庭には本気サイズの迷路があったり、家じゅうの花瓶には花があふれているし、棚には無造作にアート作品が置かれているのは憧れる。もちろん、使用人なしで住みたいとはおもわないけど。

ディナーやランチと違って、朝食だけはバフェ形式で自力で、というマナーさえ知らない田舎者が、パーティで天使の羽の仮装が嫌味にならない男に憧れるのはわかるが、さて、ここから誰がどう動くか。フェリックスの家族や執事、ゲスト客(C.マリガン)もなんだか怪しいので、これはまさかのバンパイア系?とおもったらそうでなかったのでほっとした。が、最後15分の種明かしはいらない気がしたなあ。
「そうだよね?そうなんだよね?」で置いといたほうがよかった。

ところで、日本だと最後のダンス姿にモザイクかかってたんか・・・
逆に気が散るよね、そういうの。