maro

陰陽師0のmaroのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
3.5
2024年日本公開映画で面白かった順位:34/45
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

※以下、敬称略。
『陰陽師』シリーズ第3作目。
面白かったけど、いろんなジャンルの要素が詰まっていたので個人的にはもう少し絞った方が楽しめたかなという印象。

今回の映画は、学生時代の安倍晴明(山﨑賢人)を描く前日譚となっている。
かつては野村萬斎が安倍晴明を演じていて、ひょうひょうとしたキャラクターが印象深いけれど、学生時代の安倍晴明にその面影はなく、生意気でマイペースな近寄りがたい人物だった(笑)

そんな彼が籍を置くのは陰陽寮。
平安時代は占いで政治を動かしており、その占いを担っていたのが陰陽師。
なので、陰陽寮は現在でいうところの省庁の役割と、将来の陰陽師を育てる学校の役割の2つがあった。
専門知識を持った先生(博士と言う)が学生(がくしょうと言う)に講義をするのは、さながら『ハリポタ』シリーズにおけるホグワーツ魔法魔術学校のよう。
それでいて、安倍晴明は幼い頃に両親を亡くしたものの強力な呪術使いであるという設定なので、まんまハリー・ポッター自身と重なる。
ここらへんは学園モノのような雰囲気があったかな。

そんな陰陽寮である学生の変死事件が起こり、調査に乗り出す安倍晴明と源博雅(染谷将太)。
安倍晴明は呪術使いでありながらも、それに頼ることはなく、冷静に事実だけを集めて事件解決へと導いていく。
ここらへんは日本のドラマでもよくある弁護士モノや刑事モノのような雰囲気で、サスペンス調の作りだった。

で、途中で源博雅と徽子女王とのプラトニックなラブストーリーを挟みつつ、終盤は呪術を駆使したファンタジックバトルを経て幕を閉じるという流れ。
うん、ジャンルが多すぎる(笑)
いろんなジャンルがあって飽きずに観られるというよさがある一方で、各ジャンルが浅く広くという感じになってしまい、どっちつかずな印象を受けたのも事実。
せっかくVFXの進化でド派手な呪術バトルも再現できるんだから、完全にアクション映画に振り切って「世界よ、これが日本の呪術大戦だ!」と言えるぐらいの方が個人的には好きだったかも。
続きは作れそうなので、もし続編があるならもっとアクションに振り切ってほしい。

あと、前日譚ってことだけど過去作と唯一整合性が取れなくなっていたのが、安倍晴明と源博雅の関係。
『陰陽師』(2001)で初対面だった2人だけど、今回の映画ですでに学生時代に知り合っていた設定になったので、そこに矛盾が生じている。
でも、過去作よりも安倍晴明と源博雅のバディ感が強まっていていいコンビになっていて微笑ましかったけどね。

そんなわけで、思ったより呪術感はなかったものの、日本らしいファンタジー映画ってことで個人的には好きだった。
なんで安倍晴明が強力な呪術使いなのか、あのひょうひょうとしたつかみどころのない性格にはどうやって変わっていくのかが気になるのです、これはぜひ新しいシリーズとして続編を作ってほしい。
maro

maro