ちろる

落第はしたけれどのちろるのレビュー・感想・評価

落第はしたけれど(1930年製作の映画)
3.5
前年の「大学は出たけれど」に引き続き「落第はしたけれど」も当時社会現象になった作品らしい。
大学出てもロクな就職先ないもんだから、大学いた方が楽しのかもよっていう落第生に向けた励ましムービーなのか、、?

卒業間近の試験でカンニングに失敗して、下宿学生チームの中で唯一の落第生に!
落ち込んでちょっと拗ねる主人公だが、全く同情できない。
あんなにカンニングの用意に命かけるなら勉強せいやー!ってね。
坊やの
「僕は将来おじさんみたいになりたい。
おじさんみたいにラクダイするんだ!」
ってのも笑った。

大学は出たけれどに続き、健気で大和撫子な田中絹代さんは同じ女性から見ても可愛らしく感じます。
なんであいつ落第なんですか??って教務課に異議申し立てするメガネ君のハートフルな友情に心打たれたあとに、あっけなく楽しそうに謝恩会ピクニック行く下宿仲間の姿を見送るシーンはなんだか切ない。
大学卒業しようが落第しようが、大切な戦友と足並み揃わなくなって置いてきぼりはなんかやだよね。
活弁なしで、文字も見づらいのでかなり苦戦したけど、コメディとしては楽しめた小津サイレント映画でした。
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