ヨーク

バーチャリィヒーローズのヨークのレビュー・感想・評価

バーチャリィヒーローズ(2013年製作の映画)
3.5
未体験ゾーンの映画たち2024の2本目です。
いやー、これは良かったな。面白かったですよ。
だって始まって10秒で「あー、これダメだー、ダメなやつだこれー!」ってなるんだけど、その直後にロジャー・コーマン プレゼンツっていう字幕が出るんだよ。もうその時点で爆笑しちゃったからね。あ、ダメだわこれっていうことがもう映画始まって1分以内に確信できてしまう。まぁそんなの愛すべき映画以外の何ものでもないですわな。もういつ寝てもいいぞって言われてるようなすわ実家に帰ってきたかのようなリラックス感で安心して観ることができましたよ。そんな『バーチャリィヒーローズ』でした。
お話はいわゆるテレビゲームものの映画で、2013年の映画らしいので『シュガーラッシュ』の二番煎じをやろうとした感がプンプンするんだけど主人公はゲームの中の主人公で、そのゲームの中での生に対して疑問を持ちながらもその世界でどう生きていくかを模索するという最近で言うなら『フリーガイ』みたいな感じの映画です…と言いたいのだが正直に書くと『シュガーラッシュ』にしろ『フリーガイ』にしろまったくその水準には及んでいなくて、ひたすらに安い映像をゲームあるある的なギャグと共にお送りするだけの、ダメだこりゃ、な映画である。ちなみにその映画内ゲームの内容はコナミの名作横スクロールシューティングである『魂斗羅』を彷彿とさせる感じであり、作中ゲームの設定的にはベトナム戦争と思われるジャングルでの戦いに身を投じる二人の(多分マリオとルイージ的な1Pキャラと2Pキャラ)男の戦いを描くものである。
プリレンダムービーの途中、多分プレイヤーはイベントムービーを見ているであろうという体のシーンでシネスコサイズになる演出とか、初見殺し的な死に方をした後に今度はその対策をしていたりとか、急にミニゲーム的な音ゲーパートが入ってきたりとか、コナミの『魂斗羅』が元ネタであろうと書いたがあからさまなコナミコマンドのオマージュが出てきたりとか、そういうゲームあるあるが随所にある映画なのである。ただそれらは全てポンコツで安っぽい演出なわけである。でもそのポンコツ具合が非常にいいんですよね。そのダメだこりゃ感が初代プレステの頃のよく分からんゲーム感があって素晴らしい。
余りにも安っぽくて、その安さがクソ映画あるあるとクソゲーあるあるに接続されて何だか妙な化学変化を起こしてしまっていく感じが大変面白い映画なんですよ。昔こういうクソ映画見たなー! っていうのと、昔こういうクソゲーやったなー! っていうのが同時に来る感じ。初代プレステとかセガサターンとかの時代を知っている人ならきっとその感覚は分かると思う。本当にその懐かしさたるや登場人物が全員ローポリに観えてきてしまうほどだったからな。
そんな世界の中で主人公が何度もゲームオーバーになりながらひたすら同じステージを攻略して「何だよこのクソゲー!」と魂の叫びを上げるわけですよ。いや面白いよね、そんな映画そりゃ面白いよ。確実にクソ映画かつ、クソゲーだと思うけどな!
あとちょうど寝てたからイマイチ記憶が定かではないのだが、中盤から後半にかけて何かベトナム戦争の世界観なのにカンフー修行編とか2Pのルイージ的なキャラがゲームをボイコットしてパーティーに興じてたりしてたけどあれは隠しステージとか裏技的な感じだったんですかね。まぁどうでもいいけど、その辺のどうでもよくなる適当さも含めて好きな映画でした。
好きだけど、面白いとかおすすめとかではない。一応最後にそれは書いておきます。
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