Uえい

美しき仕事 4Kレストア版のUえいのレビュー・感想・評価

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)
3.5
横浜まで遠出した甲斐があり、ドゥニ監督を生で見れて嬉し過ぎた。スクリーンも大きく、良い体験が出来た。

ジブチで訓練をするフランス軍の外国人部隊を描いていて、照りつける日差しと砂漠、そして海のコントラストが綺麗だった。修復にあたり、撮影時に感じた光を思い出しながら調整したらしい。

ドゥニ・ラヴァン演じる准将のガルーはマルセイユで暮らしていたが、ジブチの外国人部隊を指揮していた頃を回想する。部隊のサンタンという青年は周りから慕われていたが、ガルーは彼に複雑な感情を持ちキツくあたる。そして、とうとうサンタンはガルーを殴り、罰として遠方に置き去りにされた、しかし頼りのコンパスはガルーにより細工されていた。

この複雑な感情には、同性愛的な要素は感じ取れなかった。ただ羨ましさの裏返しの様で、ガルーは異国の地で孤独だったが、サンタンは部隊の仲間に囲まれていた。ドゥニ監督は幼少期をアフリカで過ごし、フランスに戻った後の寄る辺なさをテーマにした作品が多いが、本作もこんな居所の無さが描かれていた。ガルーは処罰されフランスに帰るが、そこにも居場所は無く、ただジブチでの思い出を振り返る。

最後のダンスシーンはドゥニ・ラヴァンの身体性が全面に出ていて印象に残る。その前にも、ダンスホールの様な映像が所々差し込まれていた。それとは対照的な太陽の下での訓練ではオペラが流れていて、このコントラストは聴覚的にも凄かった。
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