クリーム

グアンタナモ、僕達が見た真実のクリームのレビュー・感想・評価

4.0
イギリス国籍のパキスタン系の若者達がテロリストに間違われ、グアンタナモ米軍基地で2年以上も収容所生活を強いられた事件の映像化。9.11以降のテロへの報復に燃える米軍による国家ぐるみの不当収容を恐怖と思うと同時に怒りと吐き気が沸いて来ました。彼等が経験した恐ろしい実話を役者が演じ、本人達の話が織り込まれます。ドキュメンタリーっぽくなってます。見応えのある作品でした。

2001年9月。英国に住むアシフは母国パキスタンで結婚する為、現地の友人ローヘルと英国の友人シャフィク、ムニールと共に4人で観光します。当時は 9.11テロ直後で、米軍のアフガニスタン侵攻が開始され、爆撃等もある状態でした。そして、 カラチのモスクで、アフガニスタンでのボランティア を募る話にちょっと行ってみる?程度のノリで、バスに乗り、 国境を超えてしまうのでした。



ネタバレ↓
(長いです)


カンダハルでは爆撃が起き、タリバンが幅を利かせオサマ·ビンラディンを指示する群衆が溢れていました。そんな中、カブールへ向かうと、米軍は24時間カブールを攻撃。戦闘に巻き込まれムニールは行方不明になります。何とか帰りたい3人でしたが、タリバン兵士達と行動を共にする事になってしまいます。激しい戦闘を潜り抜けた3人ですが、タリバンの兵士と間違われ米軍に捕まった。最初は、英国籍は隠しパキスタン人と言ったアシフとシャフィク。
アフガンのシェベルガーン収容所へ。
2001年12月、英国籍とバレて拘束され、麻袋を頭から被されカンダハルのアルカイダの収容所へ。
1時間ごとに起こされ整列させられ、寝るのもままならない。食べ物は投げて渡され、尋問も続きます。
2002年1月13日グアンタナモへ移送されます。便器用と水用のポリバケツが置かれた金網の囲い(良く見るグアンタナモのアレ)の中へ1人づつ、1ヶ月この檻に入れられた。その間もずっと尋問は続く。アシフどシャフィクは3ヶ月、ローヘルは6週間、グアンタナモにいた。
そして、デルタ収容所へ。2003年隔離房に3ヶ月入れられます。しゃがんだ体勢で両手両足を床に鎖で繋がれ、爆音の音楽とフラッシュの嵐。ひどい時は5~6時間そのまま。トイレもその場でするしかない。
集会に参加した証拠だと言うVTRを見せられ、その日付が2000年だった事から、何度か警察のお世話になっていた彼等は、ちょうど2000年には、イギリスで保護観察下にあった事が警察により、証明され、釈放となります。しかし、例によって、米軍は自分達に協力しろと脅したりして、2004年3月までイギリスへの引き渡しを伸ばされました。
2005年パキスタンで、アシフは予定通り、結婚した。その後、3人はイギリスに住んでいる。ムニールは行方不明のままです。

「モーリタニアン」や「レディソルジャー」程、拷問シーンは激しくありませんが、それでも人権無視の酷い扱いでした。米軍から彼等への謝罪は無いそうです。思い出したくもない話を淡々と話すご本人達の勇気に驚きますが、あれ程の経験をしていれば、納得です。人生が変わってしまったと言います。でも前向きに生きて行くと言う。強い彼等の幸せを願わずにはいられませんでした。思った以上に赤裸々に当時の様子が再現されていていました。沢山の人が知るべき事実だと思います。観て良かったです。
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