垂直落下式サミング

ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.7
ウメボシデンカ。なんかドラえもんと設定がよく似ている。それもそのはず、藤子先生の一個前の連載作品だという。藤子不二雄名義で2年くらい連載したけど、あんまり跳ねなかった漫画らしい。
母国が惑星ごとなくなっちゃった宇宙人が、新しい移住先として地球にやって来るおはなしは、スーパーマンみたいに移民を象徴させて重めになりそうなところを、困った居候によって引き起こされるご近所レベルの騒動でしかないのが、とっても日本的でいい。
最後は、王さまの誕生日のエピソードで締め括られる。本来なら一国一城の主だった王さまとお妃さまが、子供部屋のなかで座布団に正座して向き合ってワイングラスを乾杯するところの寂しさと、みんなの優しさによって祝われて「こんなに嬉しい誕生日ははじめてだぞよ。」と流す涙に、藤子F美学の真髄をみた。
まあ、でも、当時ヒットしなくて打ちきりになった理由はなんとなくわかる。ウメボシ星の人たちは居候の癖にけっこうムカつく奴らだし、デンカはドラえもんやコロ助ほどデザインが洗練されてないしで、あんまかわいくない。大人数なのもね。ひとりふたりならいいけど、ちょっと多くて困っちゃうね。太郎くんちの家計に強いる負担はいかほどか。経済的な心配が先にたつ。