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砂の器のRyuのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
3.9
蒲田駅操車場で60代くらいの男の殺害死体が発見される。しかし、被害者の身元がわからずに捜査は難航。そんな中、被害者が事件前夜にバーで誰かと話し込んでいたことが判明。被害者はズーズー弁を話し、会話には“カメダ”という言葉が何度か出てきたという。この“カメダ”の手がかりは掴めずにいたが、警部補の今西は、これが地名なんじゃないかとにらみ、若手刑事 吉村と共に、東北地方は秋田県にある羽後亀田駅へと赴く。

原作 松本清張、監督 野村芳太郎、脚本 橋本忍・山田洋次、主演 丹波哲郎。これだけの名前が連なったら、期待値もある程度は上がってきますが、余裕で超えてきました。
中々手がかりが掴めない中、主人公たち刑事の頑張りにより、少しづつ事件の本筋が見えてくる。この事件解明へのスピードもめちゃくちゃちょうどよくて、ずっと興味が消えなかったです。
そして、明かされる事件の真相。これがまためちゃくちゃ濃度が高い というか、ドラマとして完成度が非常に高かったと思いました。「宿命」の演奏が流れる中での回想シーン。セリフがほとんどなくて、かなり長尺なんですが、たくさんのセリフで親子を描くよりも、この音楽のほうが、親子をより物語っているように思いました。「宿命」をバックにした回想シーンが今作を高評価にしている大きな要因のひとつなんじゃないかとも思います。原作だと音楽って要素はないですからね。言葉だけでは紡ぎきれないものが表現されていたように感じました。
出演者については、主演の丹波哲郎に、若手刑事には元千葉県知事の森田健作。加藤剛に島田陽子。脇を固めるは緒形拳、佐分利信、笠智衆、渥美清。などなど、中々豪華な面子が揃っております。
ストーリーが面白いのは流石松本清張といったところで、さらにそれを映像作品として上手いこと調理した野村芳太郎監督や脚本の橋本忍に山田洋次。そして豪華な出演者たちの演技。色々揃っており、サスペンスとしてもドラマとしても非常に見応えのある、濃い作品だったと思います。
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