レオピン

風速40米のレオピンのレビュー・感想・評価

風速40米(1958年製作の映画)
3.7
喧嘩が強くて山登りが趣味の北大生。同性からも異性からも「さっちゃん」「さっちゃん」と呼ばれ慕われている。颯夫と書いてさっちゃん。ニットキャップがよく似合う。眉根だけは深刻なんだが、愛くるしい乱杭歯とトシちゃんばりの鼻に抜けた笑い方があらゆる陰を吹き飛ばす。

夏休みに東京の実家へ帰ったさっちゃん。彼は建築科の四年生で就職どうしようかと考え中。オヤジの会社で雇ってくれと言うが、なぜか父は頑としてライバル会社の金子信雄が社長の和泉建設に行けと言う。。

よく分からんが、元はといえばこの定年間際の父宇野重吉の野心が発端。まだ俺はやれるゾという自信。この頃の定年は55歳。気持ちは分かるけど、人死んでる時点で引き返さなきゃ。

このオヤジの再婚相手の連れ子で義理の妹が三枝さん。いつも無駄にルンルンしており一緒にいるだけで楽しい子。川地民夫と二人の舎弟みたいな描き方だ。さっちゃんは精神的に大人な渡辺美佐子の方に惹かれるが彼女はいつものように自ら去っていった。

ヒマを持て余した三人がソーラン節を踊り出す謎シーン。表情を一切変えずにスっと踊りに入る川地が怖い。他にも歌唱シーンが3つほどあり、インド映画感が味わえた。

終盤の、暴風雨の中の大乱闘はこれぞ大メインクライマックス。裕次郎の後の代表作にもつながる「過酷な現場シリーズ」第一弾。これは撮影スタッフが一番大変な現場だったろうな。

サムネの裕次郎が妙にイッチャッてる顔なので、『処刑軍団ザップ』のように生首持ってたらどうしようと思って観るの後回しにしていたが、そんな心配は無用だったです。(サムネって大事)


⇒美術:松山崇 基調色がグリーン カラーコーディネートが完璧

⇒あの建築中のビルは現在外務省ビルとな! 現場監督の山田禅二が人柱として眠っている。やはり伏魔殿。
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