垂直落下式サミング

お父さんのバックドロップの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

お父さんのバックドロップ(2004年製作の映画)
3.7
悪役に転向したプロレスラーの父とプロレス嫌いの息子が、時に反発し合いながらも家族の絆を取り戻していく姿を暖かい視点で描いた、中島らも原作のファミリームービー。
本作の注目ポイントは、主演の宇梶剛士の持つ類い稀な身体能力から繰り出されるプロのそれと見間違う程見事な技の数々。見物は勿論タイトルにもなっているバックドロップだ。しっかりと相手の胴をクラッチし後頭部をマットに叩き落とすまで責任を持って相手の身体をコントロールする宇梶さんのブリッジワークは、素人のそれとは思えない。流石は元ブラックエンペラー総長。優れたバックドロップについてよく用いられる表現に「ヘソで投げる」という例えがあるが、この映画で宇梶が演じる実力派ヒール下田牛之助は、まさにヘソで投げるバックドロップの使い手である。映画のラストで彼が披露するのは、背筋と腰のバネを効かせ下半身を使ってマットに倒れ込むルー・テーズ式。後藤達俊選手を彷彿とさせる力強いリフトアップから、小さく美しい弧を描く流れるようなフィニッシュまでの動きを是非みてほしい。

子役時代の神木隆之介くんの初々しい演技が非常に可愛いらしく撮しとられているので、ショタコンのお姉様方にもおすすめ。