ゆかちん

トゥルーマン・ショーのゆかちんのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.2
なさそうでありそうな異様な世界。
コメディなんだけど、よく考えたらホラーにも思える。そして、悲しい。。。
社会風刺的な要素も感じたりして、奥行きのある作品でした。
そして、設定が優勝してる感じがする笑。
フリーガイがこれに影響受けてそうというの、納得です。


典型的なアメリカ市民・トゥルーマン。
だが彼の暮らす環境は、どことなく不自然。
それもそのはず、彼の人生は、隠しカメラによってTV番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていたのだった。
家族や友人を含めたこれまでの人生が全てフィクションだったと知った彼は、現実の世界への脱出を決意する…。


後半めちゃ悲しい気持ちになるのに、ジム・キャリーのおかげか、鬱にならない良さがあった。

や、でも、悲しくないか?
ずっと家族や友達だと思ってた人たちは赤の他人で演技で、全部ウソって…。。。
それを知ったときの演技がとてもよかった。

その一方で、絶対安全という世界に身を置いてることは少しいいなと思ったりする。
放っておいても、進学も就職も結婚も、友達も、衣食住も全部保証されてるんやもん。

でも、全部ウソってのは辛いな〜〜。
本当の意味での信頼関係築けてないって。。
みんな金で付き合ってるだけって。。。

結果、トゥルーマンは自我が目覚め、外の世界に出ようとする。
決められた安定した人生より、先行き不明だけど苦労も覚悟で自由意志で生きていける人生を選ぶ。
そういう自分の意志で決断して、自律していく方が人生楽しいよって感じのメッセージなのかな。

最後のプロデューサーの言葉。
プロデューサーはまるで親かのようにトゥルーマンを見ていた面もあり、過保護な親のメタファーにもなっているよう。
そこからの旅立ち。
最後のトゥルーマンのセリフと表情が、切なさと吹っ切れ感と、粋な感じでとても良かった。

しかし、トゥルーマンに付き合ってずっと演技してた人たちも凄すぎw
彼らの実生活はどうなってるんだろう。

あたかも普通の街のようにみえて、どこかおかしいぞ?と見せる奇妙さや不気味さのバランスが絶妙でした。突如始まるCMとか。

救いは、一度役者として参加したものの、騙していることに罪悪感を抱きトゥルーマンのことを想っていた女性がいたこと。

外の世界に出たら彼女と過ごせたらいいね。
でも、結局メディアに出る人になりそうだね笑。

あと、最後の最後にハッとヒヤッとさせられるのは、視聴者たちの態度。
トゥルーマンを応援して終わったら、さっさと次なんかないかなって言い出す。「消費者」として。彼の人生も消費してたって感じ。

ジム・キャリーとても良かった。
こういうのも似合うんだなぁ。
普通の良い人から、何かおかしいと気づくところ、真実を知り絶望するところ、その中で頑張ってトラウマに打ち勝って外の世界に出ようとするところなど。
色んな感情が出てました。

番組プロデューサーにエド・ハリス。
トゥルーマンの妻役にローラ・リニーなどなど。
脇役も良かった。

発想の良さ、保護下か自由意志か、消費社会への皮肉、などなど。
当時の社会問題提起とエンタメが融合した作品だなと思いました。
ゆかちん

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