レオピン

群衆の中の太陽のレオピンのネタバレレビュー・内容・結末

群衆の中の太陽(1959年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

早稲田ロケ 大隈講堂 ラグビー場は東伏見かな
城南大学ラグビー部。この人たちは何かあったらすぐ歌い出す。一応合唱部ではなくラグビー部のOBの話です。

固い友情で結ばれた四人の若者が、社会の荒波に飲まれてバラバラになっていく。90年代ドラマ「愛という名のもとに」を思い出すが、ちょっと打ち砕けるのが早すぎないかw
卒業して1か月ぐらいで再会するがその時既に沢本は胸を病み、葉山は貧しさから婚約破棄、小高は全く一直線に騙され全財産を奪われ、残ったアキラも毎朝新聞社会部配属でさっそくやらかす。あっという間の挫折ターン。

小高は父の部下だった植村謙二郎に騙されるが、この土地売買を狙った関東開発のモデルは、”強盗”慶太か、”ピストル”堤か。この頃みんなこんな感じで土地を切り取っていったのだな。
何不自由ない暮らしをしていた上流家庭のボンがクスリで墜ちていく。特にこの彼の暗い陰が韓流ばりの流転ドラマのようでオモシロい。彼を追いやった金子信雄はこの時まだ30代半ば。すさまじいまでの悪の表現だった。

アキラ以外はみんな遠い夢ではなく、側にいる人、近くにいる人のために今ここで生きようと決意する。昭和の人は夢など追わずに案外堅実な人が多い印象。

四人の性格は、沢本と葉山が学者タイプで、それぞれ料亭の姉妹と一緒になる。小高とアキラは激情タイプ。小高はアーティストだが、アキラは義侠心から感情を昂らせる。
ほぼヘラヘラ笑っている彼が一転怖ろしい顔を見せる。普段バカっぽい顔を見せているだけに効き目がある。こんな男は本来記者には向いてない。
結局彼だけが旅立っていく。猪木一家がブラジルへの移民船に乗ったのは2年ほど前のことか。『風のある道』の葉山と同じ。そいや清水まゆみはここでも姉を助ける賢い妹だった。

みんな別々の道を歩んでいく。お互いに幸せになることを忘れないことが一番大事さと大野木。フラッシュバックで苦しんだ武井のように、日々の生活の中とっ散らかった頭で、それでも、誇りや初心、そういうものが何より大切なのだ。各自の胸の中に既にあっていつでも明るく照らしてくれるもの、それが太陽なんだな。

⇒OBで新聞記者の先輩の安部徹。『黒い潮』でも新聞社のテキトーで朗らかな上司だった。
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