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大地のsonozyのレビュー・感想・評価

大地(1930年製作の映画)
4.0
アレクサンドル・ドヴジェンコ監督による「ウクライナ三部作」の三作目とか。
ウクライナの農村。クラーク(私利を増やす富農)撲滅のため、トラクターを導入し農業集団化を進めるコムソモール(共産主義青年団)の若きリーダー・ワシーリと農民たちの物語。

風に揺れる麦畑。
ひまわりとワシーリの恋人ナタールカの顔。
梨畑で死を迎えるワシーリの祖父セミョン。
それを見守るワシーリの父オパナスと母。
という静かなオープニングから、家族の悲しみ、クラークへの怒りの爆発。

トラクターの導入ですべてが変わると自信を見せるワシーリら若者たちと、懐疑的な父オパナスとの摩擦もありつつ、いよいよトラクターがやってくる。(途中ラジエーターが空になり、男たちが小便を注ぐというユニークなシーンも。笑)

小麦の収穫のシーンは、農機の動作、麦をまとめる女性たちのいきいきとした表情など、労働の喜びに満ちた素晴らしいシーン。
脱穀〜パン作りという未来の夢のシーン?も。

その喜びから、ホパーク(コサックダンス)を踊りながら夜道を歩くワシーリだが、何者かに殺されてしまう。
悲しむ父、母、恋人、コムソールの仲間たち。
無神論者の父は教会の司教を断り、農民たち全員で「新しい人生のために新しい歌を歌う」弔いが行われる。

多数の農民たちの前で新たなリーダーが演説する中、
ワシーリの母は産気づき出産。(このタイミングで?笑)
恋人ナタールカは部屋で全裸で悶え苦しむ。(この時代に斬新!)
司教は農民たちを罰するよう呪う。(司教は反農業集団化?)

そして、クラークの若者ホマーは高台の墓地でワシーリの殺害を自白し叫ぶが、農民たちにその声は届かない。

大地に実った梨や西瓜に雨が降り注ぐ。
ワシーリとナタールカが見つめ微笑む。

人々の表情。労働。大地。ひまわり。
まさに、映像詩。素晴らしい。

https://youtu.be/A-E57eyjoao
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