片腕マシンボーイ

ゲキ×シネ「メタルマクベス」の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

2.5
とにかく松たか子がスゲェ!に尽きる、特に後半に向け振り切っていく松たか子の迫力にチビりそうになるんやが、逆に言えば松たか子の迸る狂気以外にはあまり魅力を感じなかったよねぇ

無敵の将軍が嫁さんに唆されて王様を暗殺!王位に座るが、罪に苛まれて狂っていくぞ、って話

数少ないながら今まで観てきたゲキシネの印象から劇団新感線って完全に喜劇に振り切っているイメージやったんやけど、本作はベースがマクベス、皆さんご存知シェイクスピアの4大悲劇のひとつであるマクベスなのよ、その時点で大丈夫なん?なってんのに、脚本は宮藤官九郎?もう噛み合うとは思えへんのやけども……まぁマシンボーイ如きポンコツには想像もつかんような物凄いマリアージュがあるに違いないわ!思ってドキドキしていたら……いやぁ、案の定の支離滅裂っぷりでどういう感情で観たらいいのかようわからへんかったわぁ
うん、ベースが殺し殺され気が狂うっつ〜イカれた悲劇なのに基本的に笑いの要素が安いシモネタを中心に構成されてんのがまぢ絶望的に笑えなくてしんどかったし、そもそも宮藤官九郎作品に苦手意識のあるマシンボーイからしたら、品も無いし危ういネタ多いしでキツい悪ノリにしか思えなかったのよねぇ、林さんの毒入りカレーで笑える人ってどんな人種よ?宮藤官九郎のシモネタって汚いだけやからばうんこネタでも爽やかな井口昇を見習え!なったねぇ

物語的には約200年後の終末未来を舞台にメタルをフュージョンさせたネオ・マクベスって感じで、わかりやすい世界観としてはマッドマックスなんやが、そもそもマッドマックスも好きくないし、メタルには苦手意識あるマシンボーイはメタルと演歌って似てるよね、くらいしか共感性なかったし(どちらもそんなに興味無いが石川さゆりは好きなぶん演歌の方が…)、ネオなシェイクスピア作品なら古代ローマを舞台に現代要素を織り交ぜたジュリー・テイモアの「タイタス」が圧倒的に好きすぎてそこまでの没入感も無かったんが残念(フィルマじゃ「タイタス」に4.9つけてるマシンボーイやからなぁ…)

そんなわけで、まぁ宮藤官九郎脚本の時点でマシンボーイ的には観るか悩んだんやが、先週観た「狐晴明…」も苦手キャストだからと食わず嫌いせんと観たら良かったから!頑張ってみたらば……見事に撃沈!
ただね、もう一度言うと松たか子はほんとチビるくらい最高やったねぇ!

うん、マシンボーイってばそもそも松たか子の映画ってあんまり見たこと無いからこんな凄い女優さんやって知らなかったんよねぇ、たぶん観たことある作品「四月物語」くらいよ……思ってフィルマで調べたら本作で10作品目やったわぁ、でもそのくらいあんまり興味無かったんよねぇ、でも本作で松たか子の凄さを思い知ったよ!
うん、「四月物語」のイメージしかない松たか子にはいまだに初心で純朴なお嬢ちゃんっつ〜印象だけがあったんやが、本作の松たか子はそんなイメージとは正反対で、私欲のために夫を悪の道へと唆す悪女、自らの手を血で汚すことも厭わない度胸、他人を平気で地獄へと突き落とす冷酷さに夫のみならず観客をも翻弄する妖艶さ、しかしながら次第に自らの悪行に心を押し潰されていく繊細さも併せ持つ、最高な悪役やったし!もちろんお歌も上手で素晴らしかったね!

一方で主人公を演じた内野聖陽や周りを固める森山未來や北村有起哉も熱演は熱演やったとは思うんやが……松たか子のギアが3段くらい上で物足りなかったかも、そういう意味では松たか子のせいでバランスが悪いとも思っちゃったかなぁ?
松たか子意外やと、劇団新感線の団員の橋本じゅんさんと粟根まことさんは良かったよ、粟根さん演じる隣国の王様は変な格好なのに謎にカッコ良かったし、橋本じゅんさんは「仮面ライダーリバイス」で好きになったのにゲキシネ5作品めにてようやく会えましたよ!ぺろぺろ、リバイスのフェニックスの明石長官役のせいで悪役のイメージついていたけど、本作の子煩悩で思ったことを全部口にしちゃうちょっとアホなモヒカン役も良かったし、お尻も綺麗で良かったよね!

さ、ゲキシネリバイバル来週のんは……メインキャストの天海祐希と松山ケンイチに興味は無いけど……橋本じゅんさんも粟根まことさんも出てる!なら観ないとあかんな!
あと松たか子の映画他にも観て観ようかなぁ〜、華ちゃんと共演してるのん気になるけど2時間オーバーかぁ……
あ!本作のスコアはもちろん松たか子のキチガイ演技加点(+0.5)ありだぁ!ぺろぺろ