ダンクシー

ライフ・イズ・ビューティフルのダンクシーのレビュー・感想・評価

4.3
「ゲームを始める。全員が参加者だ。1000点が1等賞で賞品は本物の戦車だ。ステキだ。得点はあそこの拡声器で知らせる。最低得点の者は背中に"バカ"と貼る」

誠に私情ではありますが、実は最近多忙につき自分の時間が食う寝る以外ほぼなく中々大好きな映画を観れていません。しかし、1本1本映画を観る時間が貴重になったおかげで、映画に対する向き合い方や見方がまた変わったのでそれはそれで良かったり…!!なんて。

さて!言わずもがなの名作、ライフイズビューティフル。この映画にそんな訳ないというのはあまりにも野暮すぎる。
ロベルト・ベニーニもインタビューで語っていたが、ホロコーストの物語の主人公が面白おかしなコメディチックな男だったらどうなるのかという発想の面白さが最大の特徴。テーマとユーモアのマッチ具合が、作品としての質を格段に引き上げていた。だから、真面目に描けって言うのはそもそもの戦争映画の好みの傾向の問題だから合わないだけとしか。逆に、これを終始真面目に描いてたらここまでの名作には絶対にならなかった。心沁みる戦争映画止まりの作品になっていた事だろう。

前半にあそこまでしっかりグイドの人間性を描いていたのは、後半のシーンを引き立たせるため。彼という人間について深く知ったからこそ、心を動かされる。子供を守ろうとする親の姿。いつでもどんなときでも、家族の絆ってのは強いんだなぁと。特に子供を持つ親の人には超ぶっ刺さる作品なんじゃないかなー。

中でも、特に印象的だったのが、あんなにも楽観的だったグイドが劇中で唯一明らかにショックを受けたなんとも言い難い表情を見せるシーン。それは、奉仕時代に出会ったなぞなぞが好きな医者と収容所で再び再開した場面だ。軍医だった彼に奉仕を頼まれ、何か起こるかもと期待していたグイドに更に重要な話があると耳打ちする。バレたら終わりの状況で慎重に"合図を出す"とまで言われるくらいだ。相当期待は膨らんだことだろう。しかし、いざ聞かされた内容は耳を疑うような内容だった。出会った時と変わらない、なぞなぞについての相談。確かに彼はなぞなぞが何よりも大事だったから当然なのだが、極限下におかれていたグイドにとっては唯一の一筋の希望が完膚なきまでに打ち砕かれた気分だっただろう。何から何までが違った。ここ、すごいゾクッとしたな〜。。

多分、ホロコースト然り戦争を描く時大抵の映画は真面目に描くと思う。でも、真面目にメッセージもこめてるけど、主人公が底なしに明るくて面白い人っていうのがギャップになって逆に切なさを引き立てるし、極限状態の戦地にグイドみたいな人なんていないからこそ、より印象に残るのだろう…。
ダンクシー

ダンクシー