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グッド・ガールのRのレビュー・感想・評価

グッド・ガール(2002年製作の映画)
4.6
おおおお! 面白い! 掘り出し物! だいぶ昔ちょろりと勧められて、普通にラブコメやと思って見てなかってんけど、ぜんぜんトプ画のイメージとちゃうやんけ! ちょーリアルでダーク、地味で淡々とブラックコメディ。笑えないけど笑うしかない、けど笑えない、絶妙なシーンの連続! トップ画像に絶賛が載ってるのも納得。幼い頃、世界すべてキャンディーだと思ってたけど、大人になると現実は牢獄だ、とモノローグで語る30歳の美人さんジャスティン。田舎町のスーパーでやりたくない退屈な仕事を延々やって家に帰ると、ペンキ塗りの仕事から帰ってきた旦那が親友とマリファナきめてカウチポテト。そんな毎日の繰り返しにウンザリしてる彼女のスーパーに、20歳の男子が働き始める。彼はホールデンと名のり、ライ麦畑でつかまえてのホールデンと自分を重ね合わせて、世界の退屈と偽りを受け入れず、誰も自分を分かってくれないと嘆いている。似たような思いを抱えてるふたりは互いに惹かれあい、遂には肉体関係を重ねるようになる。だが、ホールデンの思いが重すぎていろいろヤバくなっていき、それと同時に浮気してるのが旦那の親友にバレてしまい、バラされたくなければ今度うちに来いや。と言われ…どんどん泥沼にハマり込んでいく。というキッツい話で、どれだけでもシリアスに演出できそうなところを、人の生き死にまでをもジョークに変えながら、なかなかどぎついオフビートなコメディに落とし込んでるところが素晴らしい! お口アングリ生々しいOMG的展開がお見事! 脚本を作ったのが、何とスーパーの警備役演じるマイクホワイト。スクールオブロックもこの人が脚本兼出演。え、天才? そして、彼の創作を体現するスター俳優たち。鬱屈の美女ジャスティンを演じるジェニファーアニストン、メンヘラ青年ジェイクギレンホール、無神経ブタ男ジョンCライリー。脇を固めるのもアクの強い人たちばかり。個人的には旦那の親友の鳥肌モノの気持ちの悪いクソ野郎さに心騒めき、スーパーのいつもエネルギッシュなおばはんグエンの一生を慮って心が痛み、子どもが生まれたらすべて変わるのだろうか?っていうジャスティンの疑問のあとのホールデン一家がテレビを見てるショットにぐはぁ…ってなりました。ジャスティンの甚だしき自己中さは言語道断なとんでもなさがあるにも関わらず、同情を禁じ得ない自分もいて、とても複雑な気分になりました。笑えるシーンもたくさんあるなか、最高に笑ったのが倉庫事情の筒抜け具合😂 アイタタタタタタ! 右に行っても左に行っても、無でしかないこの片田舎の殺伐とした閉塞感は、いったい何なんでしょうね。これは都会にはないものだよね。都会には都会の問題があるけれどもね。都会のように人生の無為を誤魔化しきれる刺激がないってのが大きいのかな? けどオアシスを掘り当ててない人にとっては、都会は都会で砂漠だよ笑 まぁどっちにしろ、自由を謳歌できない人生は牢獄でしかない。何ともしんどいことだ。厳しいことだ。
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