「僕は自分を信じられないが
他人には信じてほしい」
ジョージ・キューカー監督による、唯一⁈の【フィルム・ノワール】。
【ロナルド・コールマン:アカデミー賞主演男優賞 受賞作品】。
名舞台俳優がシェイクスピアの『オセロ』を演じる事に。
役に取り憑かれていく彼に、悲劇が起こる…。
冒頭、
ブロードウェイのエンパイア劇場から帰る人気役者、トニー(ロナルド・コールマン)。
行き交う人の彼への評判は、いい人、サイテーと真っ二つに割れ、本作の主旨を見事に象徴している。
この帰宅道中〜主人公の簡潔キャラ紹介は、【賭博師ボブ】でも見られた手法(語り口)だが、本作のが先陣。
好調トニーに次作、[オセロ]の話(誘い)が来ていた。
周りは勧めるが、自身は乗り気ではなかった。
役にハマり過ぎて人格が変わるからだ。
それで失敗した苦い経験がある。
別れて2年数ヶ月になる元妻、ブリタ(シグニ・ハッソ)が過去にトニーを 演技開眼 させた。
彼女も[オセロ](デズデモーナ役)にキャスティングされた。
これを機にまたブリタとやり直し(再再婚)したいトニーだったが、彼女には既に広報担当のビル(エドモンド・オブライエン)がいた⁈
過去の稽古の回想から現在の[オセロ]初演に移行しているのは手際良い。
[オセロ]のクライマックス、
最初からプロット、サスペンスとして こうなるだろう という予想を誰にでも早々、容易に提示している訳だから、演劇シークエンス多用で引っ張り、焦らしか⁈、若干クドく冗長に感じてしまった(ヒヤヒヤとイライラの繰り返し)。
確かにロナルドの演技は見どころではある。
舞台終了後には、幻覚⁈幻聴⁈が現れ始めていた。
3ヶ月、200回、300回、2年目、、
[オセロ]公演は連日大盛況。
ある夜、
ベニス・カフェに立ち寄ると、美人ウェイトレス、パット(シェリー・ウィンタース*)と知り合う。
彼女の仕事終わり、アパートに行った際、トニーの言動に別人格(異変)が現れた。
ビルへの嫉妬でブリタと大喧嘩、
そして、ついに、事件、、
結果的には、世良さん&世良さん あったのは加点するが、
そのサスペンスパートにも難あり、
ほぼ手がかりの無いところからアッサリ容易に犯行に辿り着いてしまったし、ビルの 発案した作戦 も意外と活かされなかったな⤵︎
結果的には、世良さん&世良さん あったのは良き。
10〜15分肉削いでタイト、スマートに纏めて欲しかったかな。
中間のドラマをフューチャーした事で単なるノワールという括りよりも、ヒューマン・ドラマを色濃くしている為、そこは濃厚だが、ガッツリなノワール/サスペンスを期待すると肩透かしに。
結末も
サスペンスとしては好ましくないが、本作にはこれでマッチ。
トニーにとってブリタは魔性の女〜
撮影は、ライティング加減が絶妙だった。
*注記
まだ主役張れない若いシェリー(27)もインパクトは残していた。
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