HAYATO

ダウン・バイ・ローのHAYATOのレビュー・感想・評価

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)
4.1
2024年184本目
あっさりプリズン・ブレイク
インディーズ映画界を牽引したジム・ジャームッシュの初期作
ルイジアナ州ニューオリンズ。チンピラのザックとラジオDJのジャックは、それぞれ間抜けな罠にかかり、刑務所の同じ房に入れられた。全く馬が合わない2人だったが、そこに陽気でやかましいイタリア人のロベルトが加わり、3人はロベルトの提案で脱獄を試みることに。あっさり脱獄を成功させる3人だったが、道に迷ってしまい、延々と続く沼地を放浪するはめになる。やがて、一行は道沿いのカフェに行きあたり、ロベルトは女主人のニコレッタと意気投合するが…。
出演は、『バスターのバラード』のトム・ウェイツ、『パリ、テキサス』のジョン・ルーリー、『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニ、『幸福なラザロ』のニコレッタ・ブラスキ、『オーシャンズ13』のエレン・バーキンら。
ジンガーソングライターとして活躍するトム・ウェイツは本作が映画初主演。ジャームッシュが敬愛するウェイツは、本作に“ジョッキー・フル・オブ・バーボン”、“タンゴ・ティル・ゼイ・アー・ソア”の2曲を提供した。本作以後もウェイツとジャームッシュの関係は続く。
ジャームッシュ作品らしいオフビート感全開のストーリー。ジャームッシュは脚本を執筆する際、会話やディテールを先に考えて後から物語を作り上げていくそうだが、本作においても見知らぬ3人の男たちのやり取りが笑いを誘う。
ほとんど喋らないザックとクールな態度を崩さないジャックが反目しあっている中、そこに加わる英語を上手く話せないロベルトの存在感は抜群で、ニッコニコでお喋りを続けるけど、どこかズレているロベルトが2人を戸惑わせる様子がおもしろい。ロベルト・ベニーニはそういう役柄が似合いすぎる。
タイトルの「Down by Law」は、刑務所のスラングで「親しい兄弟のような間柄」という意味。なんとも言えない不思議な関係性を築いていく3人の最後は、「多幸感」でいっぱいだった。
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