horahuki

ペンデュラム/悪魔のふりこのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.6
内と外に揺れる振り子

魔女狩りと称してエロいことしたいだけな異端審問官たちによる拷問ホラー。スチュアートゴードン監督作。美女を捕まえて“魔女だ!”と決めつけ速攻で全部脱がして触りまくるという、「敬虔」っぷりを発揮する審問官たちが素晴らしい!😂

コーマンの『恐怖の振子』をスチュアートゴードンがリメイクした作品らしい。オリジナルのが好きだけど、こちらもなかなか面白かった!オリジナルの振り子シーンには劣るけれど、振り子を利用したアクションのアイデアは面白かったし、そもそも振り子が結構な際どさだったのもヒヤヒヤした😂

パン屋を営む夫婦が稼ぎのために魔女狩り会場にパンを売りに行く。惨すぎて帰ろうとすると「見ないやつは魔女だ」と言われ、夫はボコられ奥様は魔女疑いで異端審問官に捕まってしまう。この奥様があまりに美女で、どう考えても裸を見たいだけなムッツリ大司教の「服を剥ぎ取れ」の命令を拒もうとすると「抵抗は有罪の証明」とか無敵理論でやりたい放題。

大司教は大司教で性欲を抑えるために部下に自分を鞭打ちさせて彼なりの抵抗を試みている様子。そこも含めてド変態としか思わないけど🤣この大司教をランスヘンリクセンが渋い顔で演じてるのが堪んなかったし、ついに抑えられなくなった性欲が爆発しちゃって美女をレイプしようとしたけど勃たないの笑った。自分の不能すらも魔女の呪いのせいだと言い張るの強すぎない?

王道な展開の中に大司教関連のキモ&アホ要素をふんだんに盛り込むあたりがゴードン映画らしいし、そのキモ&アホ要素を真剣に思い悩む姿にその根底にある価値観の異常性を際立たせている。それと同時に自身でも自覚としては異常であることを認識しつつ、それを教義により矯正しようとする故の悩みとして、それこそ振り子のように演出されているからこそクライマックスのあの集団は顔が闇のままで見えない。外的起因により作られた狂気として教皇という大本営すら離れて先鋭化するのはトルケマダ本人もそうだったのかは知らないけれど、ユダヤ系でありながら異端審問しまくってたところに恐らく着想を得てこの展開にしているのでしょうね。面白かった!
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