K800

ローリング・サンダーのK800のレビュー・感想・評価

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)
3.8
タクシードライバーの脚本家が描くもう1人の帰還兵

ベトナムで7年間の捕虜生活から帰還したレーン少佐だが、ベトナムでの拷問で彼の心は死んでしまっていた。
ちやほやされようが、脅されようが、浮気されようが、色仕掛けされようが彼の心は動かない。
家族を殺された復讐として行動を始める少佐だが、別の人間に恋をした妻と赤子の頃の姿しか知らない大きくなった息子はもはや他人のようでその2人が殺されたことにも心が動いていないのではないかとすら思った。彼を動かすのは本当に復讐心なのだろうか。
最初の方に息子は手放したくないという内容のセリフがあったがそれが本心なのかも分からない。
戦争はやはり人を変えてしまうのだなと感じさせられる映画だった。そしてタクシー・ドライバーよりも帰還兵の居場所のなさを感じさせられた。

この乾いた雰囲気が何とも言えない魅力を感じさせ、またいつか観たくなるような気がする作品だった。
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