Uえい

セリーヌとジュリーは舟でゆくのUえいのレビュー・感想・評価

4.0
映画祭で上映されている中で一番古い時期の作品。すごく自由で、それだけで感動する。パリで二人の女性が出会い、ある屋敷で起きた女の子の死を、不思議な魔術で防ごうと奔走する。

図書館司書のジュリーと、クラブでパフォーマーをするセリーヌが公園で出会うシーンから始まる。慌しく走るセリーヌの落とし物を届けようと、追いかけっこが始まり、不思議の国のアリスの様だった。

結局二人は意気投合し、同じ部屋で暮らし始める。ある日、ジュリーは古い写真を頼りに屋敷を訪ねるが、中に入った記憶が無くなってしまった。外に出ると飴を舐めていて、それをもう一度舐めると、断片的に記憶が戻った。二人は次々とこの屋敷に入り込み、謎を明らかにしていく。急に大きな闇が発生し、物語が動き出す。荒唐無稽だけど物凄い推進力だ。

そこには、母を失った女の子マドリンと、父、叔母、世話をした女性がいて、マドリンが殺されるまでを家政婦として体験するという記憶だった。二人はマドリンを救うため、まるでタリムリープを繰り返すかの様に何度もトライする。ここは最早ゲームの様だった。最後には自覚的に物語に入り込み、役をロールプレイしつつ、マドリンを救うために画策する。

最後、セリーヌとジュリーが入れ替わったオープニングシーンのやり直しで幕を閉じるが、この作品自体がロールプレイだったかの様な軽やかでオープンな終わり方が清々しい。
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