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アラビアのロレンスのEyesworthのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.9
【それでも人生にイエスと言う】

デヴィッド・リーン監督のスペクタクル歴史劇。1962年に製作され、多くの映画ファンに愛され続けている名作映画が、デビッド・リーン監督生誕100年を記念してスクリーンに復活。1989年に製作された完全版。

〈あらすじ〉
1916年。英国人将校のロレンスはオスマントルコからの独立を目指すアラブ王に会見するため、アラビアへと渡る。ロレンスは王に独立闘争への支援を約束し、アラブ人の勇者たちを率いて、広大な砂漠へと旅立つが……

〈所感〉
これぞ名作オブ名作。この映画こそ映画館で見るべき作品だ。こんなこと初めて思うが、テレビサイズでは限界を感じた。平原は馬、砂漠はラクダ、映画は映画館である。これを見た後だと他の全ての映画が本作の砂漠の人のように豆粒に見えてしまう。政治・軍事・人心に翻弄され続けたロレンスというイギリス人が悲惨な運命に流されつつも果敢に抗い、そして砂漠で生きて散る姿が心を打つ。
彼は砂漠が清潔だから好きだというが、砂漠は人の血をも乾かす。もがけばもがくほど底へと沈む流砂のような壮大な叙事詩だが、ロマンもリアリティも兼ね備えている。中東=アラブと一緒くたにしか見ていなかったので自分の見識の浅さを知る。世界史は今も生きている。
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