レオピン

青春怪談のレオピンのレビュー・感想・評価

青春怪談(1955年製作の映画)
4.6
面白ーい
いいもの見たなあ

男らしさ女らしさのジェンダー 結婚観 女同士の同性愛 55年でこれですか。アメリカより早いんちゃうん。獅子文六おそるべし

千春と慎一は疎開のときからの顔なじみ
千春は生まれてすぐに母を亡くし男手で育てられたせいか男のようにサッパリした性格。バレエダンサーとして頭角を現し、更に大きな世界の舞台に立つことを目指している。
慎一は大学を出て金融業で修行を積み、現在は寡婦となった母と二人で暮らしている。実業家を夢見て日夜合理的・計画的に行動している。
二人は自分たちの打算からそれぞれの父と母を縁組させることを思いつく。。

この二人の性格がオモシロイ。
まず慎一と母のあの完璧な朝食シーンで描かれたが、彼はプログラマーのようなハック思考を自然と身につけている。ムダを省く。繰り返しを省く。最大のムダは感情。外の人間に会う時はまるで機械のような印象。だが内輪同士だと急にオネエ言葉になる。なのに外見は絶世の美男子。

千春はバレエ団で、やはり女同士の世界でしのぎを削っているせいか、女性の嫉妬や感情的な所を心底憎んで遠ざけている。そのせいか一部の後輩からは熱烈に慕われてしまう。

とこんなそれぞれの問題のため中々計画はうまく進まない。

余談だが、『ラ・ラ・ランド』のミアのような夢追い人は慎一のような相手を見つけないと。万事几帳面で家事は完璧、それでお金の管理にも強い。最強じゃん。

あと自分がもし結婚相談所やってたら絶対この映画を見せるな。適齢世代にとっては既に結婚ということをムダととらえる感覚が拡がっている。もうこうなったら開き直って損得で釣るしかないではないか。結婚は目的ではなく手段ですよ 恋愛抜きでできるんですよ 恋愛なんかしたら喀血しちゃうぞー と

この物語の魅力は主人公二人がサバけたところ。うじうじと悩まない。とにかく行動すること 案ずるより横山やすし 

慎一は金融業の他にパチンコ屋 バー 病院の会計まで、中々商才のある男だ。彼のサイコぶりが一番出ていたのは、パチンコ屋をつぶされた原因がマダムの策略だったことが分かって晴れやかな顔になるところ。原因が分かってすっきりしたーって、さすがだわ

あのサバサバは極端な合理思考の他に、今でいうアセクシャル傾向もあるのかな

終盤、千春にある疑惑が持ち上がる。実は男なのでは?笑 それに同性愛者疑惑のゴシップ報道まで流される。ちょっと不安を覚えた慎一は千春の父に本当に女なのかを尋ねにいく。父も風呂にも入れたことがないから確信が持てんなぁと。結局百花園デートの日に着物の世話を焼いてくれたことからようやく娘は女だと納得したようだが、最後までオネエ言葉の慎一への疑いはまだ残るんだがな・・・

北原三枝 寝床がおっさん並み
轟夕起子は当時37歳 お日様のようなまん丸の母 うぅー重いー
芦川いづみ 自分のことシンデって言うのカワユス

それにしても、出てくる人はみな善良でおかしい。どこに怪談があるというの?

毎回 じゃさいならと言って別れる二人  
愛を叫ばない。これが現代の平均的なカップルとなりつつある。
レオピン

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