成瀬巳喜男のサイレント映画
2年前くらいに成瀬巳喜男の作品『めし』や『浮雲』、『乱れる』を連続して観たのだが、まったくハマらず…。特に『浮雲』は女性の扱いが酷いし演出も臭くてめちゃくちゃ苦手でした。
ですが蓮實重彦を始め数々の映画評論家が絶賛し、黒澤明が尊敬していたりレオス・カラックスや是枝裕和にも影響を与えているため、観なきゃなと思い重い腰を上げて初期サイレント作品を観ました。
ごめんなさい、僕が間違っておりました🙇
なぜ成瀬巳喜男があんなに巨匠だと言われていたのか分かりました。
ヤングケアラーで一人息子を育てる芸者の母親、その母親が嫌で反抗する息子。彼の相談相手になる母親の妹。
現在の家族でも通じる世代による職業差別と経済的な虐待関係の物語。父親が無駄遣いをするせいで娘は芸者をしなくちゃいけない。水商売への偏見は今こそ少なくなったもののまだまだあります。この作品はそこにクロースアップし、一人の人間としてキャラクターを映してることが良かった。
カメラはドリーイン/ドリーアウトを繰り返し、モンタージュの連続と『市民ケーン』より先に映像テクニックを駆使している成瀬巳喜男。この時まだ27歳くらいで凄すぎる…。
最後にはすべての感動が折り重なる。昔の映画は駅での別れのシーンで終わりますがこの作品も素晴らしい巻くの引きかた。
妹の照ちゃんが二階堂ふみに似てる。
これからも成瀬巳喜男の作品を観ていきたい。
YouTubeにあります。
https://youtu.be/g00P0bnEvLg?si=kKBZpr0d8CNRTD6h