垂直落下式サミング

のび太の結婚前夜の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

のび太の結婚前夜(1999年製作の映画)
3.6
あい変わらず「あの青年は人の喜びや悲しみをわかる人だ」って、しずかパパののび太褒めが的を射てなくて引っ掛かる。このオッサン人みる目ないなって思ってたけど、今回みてみたら、これ本心で言ってないような気がしてきた。
しずかちゃんの箱入りお嬢さんな仕上がりをみるに、娘に強く言ったりするの苦手なパパだったと思うんだよな。だから、本心としては天塩にかけた娘にはもう少しデキのいいのとくっついてほしかったけども、それでもこの子が選んだ男だしってんで、寂しさと口惜しさをグッとこらえて、のび太青年の表面的なわかりやすい取り柄をあげただけに過ぎないのかも。
しずかちゃんのパパの部屋。たくさんの難しそうな本に囲まれていて、超インテリっぽい。家族は大丈夫だから安心して結婚なさいと、一人娘に語りかけるパパのポエティックが素晴らしかったので、最初の部分を書き起こし。
「最初の贈り物は、君が生まれてきてくれたこと。午前三時ごろだったよ。君の産声が天使のラッパみたいにきこえた。ははは。あんなに楽しい音楽は聴いたことがない。病院を出たとき、かすかに東の空は白んではいたが、頭の上は満点の星空だった。」
今日の空の綺麗さを誰なら描けるのでしょう。ランクヘッドばりのリリシズム。こんな美しい言葉が、スラスラ出てくる人間になりたい。独身最後の夕方の雲の色ってあんな感じかも。とち狂ったモネが描いたようなギラついた橙色。