この作品には参った。
もう、後半は涙で目がかすんで仕方なかった。
胸を締め付けられた。
第2次大戦の足音が聞こえてくる1939年のハンブルグ。
黒人やユダヤ人の音楽、
いわゆる敵性音楽としてドイツでジャズが聞かれていた時代。
ここでもスウィング・ジャズを愛していた人たちがたくさんいた。
髪を伸ばし、
独特のファッションに身を包み、
ダンス・ホールに通う若者3人組。
もちろん、公では演奏してはいけないことになっているので、
ナチの偵察隊がやってくると、
ドイツ音楽を演奏したりする。
次第にナチスの勢力が、
国内でも拡大していき、
彼らもナチスに入隊。
ただ、ギタリストの若者だけは、
足が不自由なのもあって入隊せず、
ジャズを弾き続ける。
しかし、
彼もナチスに指を潰され、
挙句自殺に追い込まれる。
あとの二人は、
次第に思想の違いが顕著になっていき、
主人公の若者は収容書送りに・・・
その時代のドイツでも、
ベニー・グッドマンや、ドューク・エリントンなどのジャズを愛した若者たちがいたという、史実をもとに作られた本作。
海賊版のレコードを愛する場面や、
スウィングする場面など楽しい場面も多いのだが、
主人公がナチスの将校の命令で、
ユダヤ人関係の家に荷物を届ける場面、
中身は本作を観ていただくとして、
とても大きなショックを受けた。
ユダヤ人の大量虐殺をワンショットで見せてしまう。
自分たちは特別に選ばれた人種であるという、
いわゆるアーリア・人種主義に、
純粋な若者ほど、傾倒していく。
それに疑問を持つことによって、
主人公の悲劇が始まるのだが、
疑うことの勇気にはとても感銘した。
3人の若者すべてが悲劇的な展開になるのだが、
意志の強そうな主人公の弟が、
なにか希望をみせてくれる。
理屈をつけようと思えば、
いくらでもつけられるし、
構成が多少甘いとおっしゃる方もいるでしょうが、
私はこの作品が好きです。
そして、ジャズがもっと好きになりました。