垂直落下式サミング

ダーティファイターの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ダーティファイター(1978年製作の映画)
3.5
クリント・イーストウッドの主演映画としては異色のコメディ作品。彼が演じる腕っぷしの強いトラック運転手は、酒場で出会ったカントリー歌手の女に運命を感じ猛アタック。口説いて口説いて交際までこぎつける。しかし、彼女は彼になにも告げず彼の金を持って町を出ていってしまう。そのワケを聞こうと、昔気質のアメリカ男が仲間と共に女の尻を追いかけるほのぼの風味のロードムービー。
本作の見所は、相棒のクライドを演じるオランウータンの演技力。社会性のある霊長類ならではの温厚な表情が可愛い。三枚目を演じるジェフリー・ルイスや、当時イーストウッドの彼女だったソンドラ・ロック等脇を固める俳優陣のキャラも立っている。柄の悪い暴走族をショットガンで撃退するデンジャラスばばあを、『ローズマリーの赤ちゃん』で不気味な隣人を演じたルース・ゴードンがコミカルに演じているのにも注目。そして何よりイーストウッド映画の常連グレゴリー・ウォルコット!私の中では伝説のSF作品『プラン・9・フロム・アウタースペース』の主役という事で、この人が登場すると映画全体の空気が微笑ましいものに変わり、彼の出演作はどれも穏やかな心持ちで鑑賞ができる。
ケンカが強くて、動物に優しくて、友達思いのナイスガイであっても女にはフラれる時があるんだから、恋愛で上手くいかなかったのならさっさと切り替えて次へ進めという教訓だろう。ニューシネマを引きずった痛快娯楽作だ。