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マッチ工場の少女のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.8
Tulitikkutehtaan tytto:アキ・カウリスマキ監督、脚本、製作、カティ・オウティネン、ヴェサ・ヴィエリッコ、エリナ・サロ、エスコ・ニッカリ出演、ティモ・サルミネン撮影、1990年フィンランド作品。「労働者3部作」の3作目。

フィンランドの田舎町。マッチ工場で働いて稼いだ僅かな金で母と義父を養う女性イリスの物語。カティ・オウティネンは1作目の彼女だ(笑)

こちらも底辺に暮らす人々を1人の女性イリス(カティ・オウティネン)を主人公に描いている。激しく展開する前作とは違って、静かで割とありそうな物語になっている。ただかなりエッジの効いた復讐劇になっており笑えない恐ろしさと、イリスに近い目線で彼女を大いに応援したくなる不思議な魅力がある。

復讐劇からラストまで静かに淡々と綴られているが恐ろしく救いようがない事実。劇的瞬間を映さない手法もアキ・カウリスマキ節かも知れない。この物語を3部作のラストに持って来たのは監督の善意なのか悪意なのか興味深い所でもある。

「敗者3部作」も好きだけど、「労働者3部作」はより勢いが感じられて良かったと思う。また観たいと思う。
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